77e2fc41.jpg「マービン・ゲイとともにアメリカの芸能界の地獄で燃えつきた」とマイケルの死を悼んだのは、かの山下達郎氏。週末の番組【サンデー・ソングブック】でのことだそうだ。

マイケルの死から3日が過ぎたが、この週末、メディアでは特番や追悼コーナーがたくさんあった。相方が懸命に追っかけていたので、自分もそれを断片的に見ることになったが、やはりメディアの視点は、成功の大きさと凋落、奇行の数々にある様子。芸能界の地獄とは、よく言ったモノだ。

どこでも彼を“不世出のスーパースター”と持ち上げちゃいるが、それではどんな偉業を成し遂げたのか、とか、マトモな音楽的評価を聞く機会はほとんどなかった。ダンスの凄さは誰もが口々に語るし、グラミー賞独占や天文学的なレコード・セールスは言わずもがな。気の利いた人ならMTV普及との相乗効果を指摘する。でも彼の歌の実力や作曲能力の高さを惜しむのは、ホンのひと握りの音楽関係者だけ。ジャクソン5時代には、子供らしからぬ正統派のヴォーカル・スタイルで世間を魅了したマイケルだ。何も最初から“シャックリ唱法”じゃなかったのである。そしてメガ・ヒット曲の多くが、マイケル自身の書き下ろし。こうして、シンガー、ソングライターとして盤石の基礎を身につけていたからこそ、69年のデビューから約40年もの長い間、スーパースターでいられたのだ。自分はそこをずっと忘れないでいたい。

マイケルの非業の死の元を辿れば、おそらくは少年時代に受けた父親からの虐待に辿り着くだろう。人を信じられないからこそ、マイケルは自分自身を磨き、動物や子供を愛した。彼に最も必要だったのは、マイケルに愛情を持てNO!と言える人物だったのではないか。

この『DIANA ROSS PRESENTS THE JACKSON 5』は、<I Want You Back>を含むジャクソン5のデビュー・アルバム。タイトルは、ダイアナ・ロスが彼らを発掘した、という作り話から来ている(ホントはグラディス・ナイトがモータウン総帥のベリー・ゴーディに紹介した)。つまりマイケルは、デビューの時から、こうしたメディアの犠牲者だったのだな。R.I.P.