fece4810.jpgサミー・ヘイガー+マーク・アンソニーの元ヴァン・ヘイレン組に、バカテク・ギタリストのジョー・サトリアーニ、レッチリのチャド・スミスというスペシャル・プロジェクトが始動。ちょいと個人的な仕事でオーストラリアから来日中の某ミュージシャンに会いに行くので、首都高を飛ばしながら爆音で鳴らしてみた。そうしたらもぅ、キモチ良いこと、この上ナシで…

スタイル的もメンツ的にもヴァン・ヘイレンちっくなモノを求められるのは、演る側も聴く側も承知の上。でも“それはそれ”としてヤヤこしいコトは考えず、4人の間から自然に生まれてきた音楽を、そのままダイレクトにパッケージする、というのが彼らのコンセプト。契約に縛られず、プロデューサーも置かず、自分たちのやりたい音楽をストレートに表現できたことが、このアルバムの素晴らしさ。しかも約一年という制作期間をかけながら、実際は何曲か録ったら何ヶ月も会わない、ということが繰り返されたそう。もちろんメンバーはそれぞれ自分の活動に戻っていたのだが、それがこのバンドに向かう姿勢をフレッシュに保ち、尚かつ、個人個人が少しづつ考えたり軌道修正したりすることに繋がったのだと思う。

このところ80'sモノの紙ジャケ化が進み、いわゆる産業ロックやアリーナ・ロックと呼ばれる連中のアルバムを聴き直す機会が多い。けれど大衆に取り込まれるのを目的とし、更にたくさんのレコードを売ろうとして巨大プロジェクト化している産業筋とチキンフットでは、まるでスタンスが違う。リスナー不在なのではない。むしろそれは逆。自分たちが楽しんでプレイすれば、心あるファンならチャンとついてくるという確信があるのだ。個人的にはレッド・ツェッペリンからの影響が随所に感じられて興味深いのだけれど、それが彼らの一番の共通言語なのではないか。

つまりヴァン・ヘイレンでもレッチリでもなく、クラシカルなハード・ロック! 収録曲もヴァン・ヘイレンのようなポップなスタイル、アリーナ・ロックらしい売れセンとは、ハッキリ一線を画している。看板の重さで身動きが取れないヴァン・ヘイレンより、スカッと初期衝動でロックするチキンフット。それでいて、サウンド的にはノイジーな今ドキのメタル・サウンドになってるあたりが、ベテランの上手いトコロだろう。

ちなみにライヴでは、サミーがモントローズ時代に書いた<Bad Motor Scooter>も演っているとか。それだけで猛烈に反応しているおバカなカナザワです…