sadane今日も今日とて、カナザワ監修【Light Mellow's Picks】のライナー書き。シェリックはほぼ脱稿できたので、もう1枚担当することになったサダーンのファーストを。このシンガー、ジェームス・エムトゥーメイ&レジー・ルーカスのプロデュースで飛び出した人だけれど、マジ強力です。

個人的には、80年代初頭にデビューした男性ソウル・シンガーの中では、ルーサー・ヴァンドロスに次ぐ存在かも。もちろんエムトゥーメイのサポートなくしては世に出なかったのだから、サウンド・クリエイター的資質を兼ね備えたルーサーほどのタレントではないし、彼のようなヴェルヴェット・ヴォイスの主でもない。それどころか、歌声はむしろ野獣系の荒クレ声。野太くハスキーで、時々シャガレたりする。だけど終始吠えているのではなく、クールに抑揚が取れているのだ。だから序盤は抑え気味でジワジワ盛り上げていき、楽曲の後半で一気にクライマックスへ持っていく。そのあたりが快感、カイカ〜ン、なのである

とりわけタイトル曲は、一見地味なバラードだけれど、個人的にはかの<Juicy Fruit>を思い出したりして。サダーンのタフガイぶりとタワサの官能。路線は違うけれど、ストイックに攻め上げてカタルシスを開放させる手段には、どこか共通したモノを感じる。もっとも人気が集まるのは、ソリッドなアーバン・ダンサー。ズバ抜けたキラー・チューンとなると、同時再発のセカンド『EXCITING』収録の<One Minute From Love>に譲るけれど、アルバム・トータルはこちらかなぁ?

ま、どちらも入手困難の充実作なので、この際どちらもお聴き逃しなく。

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