sylviastriplin個人的待望のシルヴィア・ストリプリン、唯一のアルバムが、英国Universal Soundから遂にリイシュー。前回CDの英チャーリー盤は、買い逃したらアッと言う間に高値の華となってしまったので、これは嬉しい。ただし、DVDをCDサイズに縮めたようなケースは中途半端に大きく、ちょっと扱いにくいのけれど…。

でも肝心の中身は、バツグンのカッコ良さ。彼女はアクエイリアン・ドリームやレディーズ・オブ・ザ・エイティーズで歌っていた実績があるけれど、デキの良さはコレが一番だろう。ファンキー過ぎず、ジャズにも寄り過ぎない、都会派ジャズ・ファンク系ヴォーカル・アルバムの逸品。81年モノにしては少し音がチープだが、その熱気がまたイイ感じを醸し出す。まさに絶妙のバランス感を保ったミラクルな一枚だ。

一番の魅力は、シルヴィア嬢のキュートな歌声だろう。ちょっとアンジェラ・ボフィルっぽさもあるかな? とりわけ、最近エリカ・バドゥがカヴァーした<You Can't Turn Me Way>は、ケニ・バーク<Ridin' To The Top>を思い出させるメロウなクレイドル・チューン。タイトル曲の小気味良いグルーヴも、あちこちでソースに使われている。意外にバラードが少ないが、次々と押し寄せて来る昂揚感溢れるナンバーに聴き惚れているうち、アッと言う間に終わってしまうのだ。<Searchin'>なんて曲は、マジ、腰が浮きます。

バックを固めるのは、80年代初頭のロイ・エアーズ・ファミリー(フィリップ・ウーやフスト・アルマリオらユビクティの面々を含む)と、オマー・ハキム(ds)、ネイザン・ワッツ(b)、リック・ズィニガー(g)等など。でも当時のロイ作品のどれと比べても、これほどハイ・クオリティなアルバムはないのでは? もちろんロイのアルバムにしばしば見られるリリジャス臭さも、ほとんど感じられない。

ブラコン本を作る時には手に入れられず、掲載できなかった一枚なのだけれど、今なら黙って載せてます。