daniel_sahuleka“オランダ生まれのスティーヴィー・ワンダー”と称されたダニエル・サフレカの大人気サード・アルバムが、とうとう紙ジャケ/SHM−CDで復刻される。現在、そのライナーを執筆中  正確には、インドネシア生まれのオランダ育ちで、日本発売はリアルタイムの82年、91年の初CD化についで今回が3回目となる。しかもその都度ジャケが変更され、オリジナルのアートワークではコレが日本初見参。つまり、90年代中盤にクラブ・シーンから再評価されるまで、AORはイメージ先行の面が否めなかったワケだ。

でもこのアルバムは、そうした時代性を超越した好盤。オランダというのは、インドネシアのみならず、カリブ海周辺にも植民地を持つなど海上覇権を有していた国で、アフリカやインド、インドネシアからの移民が少なくない。彼の音楽もそうした文化的背景のうえに成立していて、レゲエへのアプローチやトロピカルなパーカッション使いの方法など、ボビー・コールドウェルやナイトフライトのようなマイアミ・ソウル寄りのメロウAORと共通点が多い。もちろん微熱感覚の空気感も。

ディスコティークなノリの<Ev'rybody Feel The Groove>、最も王道AORチックな<Lorraine>あたりもイイけれど、個人的にはメロウなミディアム<Tears For The Stars>と<Days Can't Stay Forever>がツボ。ちょっと意外なジャズ・バラード<Jakarta>では、生まれ故郷への想いを小粋なアレンジで。