chic_boxワーナー・フランス編集によるシック・ワークスの集大成4枚組。監修はもちろんナイル・ロジャース。だから並みのボックスではなく、12インチ・ヴァージョンや未発表テイク、未発表曲がテンコ盛り。しかもワークス集なので、彼らがプロデューサーとして関わったアーティストの楽曲まで収録してあるのダ!

シック以外の主だった収録アーティストは、元メンバーのノーマ・ジーン、シック制作の出世頭となったシスター・スレッジ、フランスのシンガー:シーラ&ザ・デヴォーション、そして大物ダイアナ・ロスにブロンディのデビー・ハリー。更にカーリー・サイモンやテディ・ペンダーグラスは、ナイルとバーナード・エドワーズがプロデュースしたサウンド・トラック『SOUP FOR ONE』の関連から。そして「エッ、こんな録音あったの」という驚きのトラックが、ジョニー・マティスと、準メンバー的ポジションにいたシンガー:フォンジ・ソーントンの未発表アルバムからの音源である。へぇ、フォンジは分かるけど、ジョニー・マティスは81年にこんなコトやってたのね。

ダイアナの<Upside Down>と<I'm Coming Out>は、もちろんシック制作のヒット・アルバム『DIANA』の楽曲だけれど、ここに収められたのは、03年発売のデラックス・エディションでようやく陽の目を浴びたオリジナル・シック・ミックス。ダイアナの歌が生々しく、ヴォーカル・トラックも微妙に異なる。つまり世間でよく知らているヴァージョンは、彼らの手を離れたあと、更に手が入れられたモノなのです。また仏編集らしく、シックやシスター・スレッジの曲のいくつかをディミトリ・フロム・パリスがリミックスしていたりも。

いずれにせよ、これはシック・ファンならずとも大いに興味をソソられるハコ。確かに懐かしさもあるが、今ドキのヒット曲に比べても未だにリアリティがあるし、訴求力だって強い。20ページに及ぶ豪華ブックレットとナイル自身による詳細解説も嬉しく、その最後には96年の日本公演終了直後にホテルで急死した相棒バーナード、もうひとりの男性メンバーだったトニー・トンプソン(93年ガンで死去)、そしてルーサー・ヴァンドロスと、早世した仲間たちへの謝辞が添えられている。

それにしても、前回のダニー・ハサウェイといい、今度のシックといい、ワーナー・フランスはイイ仕事してますな。ちなみにこのシック・ボックス、第2弾もあるようです。