mcfadden_whiteheadタワー・レコード、HMV、ディスクユニオン共同企画、カナザワ監修による【LightMellow's Picks】6タイトル、発売になりました。自分でライナーを書かせてもらったペリー&サンリン『WE'RE THE WINNERS』とタヴァレス『SUPERCHARGED』は既に紹介済みなので、今回は初CD化のマクファデン&ホワイトヘッドの3作目(83年発表)を。

彼らはフィリー・ソウル・シーンを代表するダンス・チューン<Ain't No Stoppin' Us Now>(79年)で知られるデュオで、同時にソングライター/プロデュース・チームとしても現地で活躍していた。しかし80年代に入って、本拠としたレーベルのフィラデルフィア・インターナショナルが発信力を失っていくと、後にクワイエット・ストームのムーヴメントを主導するハッシュ・プロダクションとの連携を深め、メルバ・ムーアやフレディ・ジャクソン、ボー・ウィリアムス、ウィリー・コリンズらを手掛けていく。そうした流れでキャピトルへ移籍して出した通算3作目のアルバムが、コレというわけ。

だからフィラデルフィアのシグマ・スタジオ録音ながら、音はややニューヨーク風。メルバ・ムーアのアルバムでは実際にカシーフ一派とプロダクツを分け合っていたのだから、意識しない方がおかしいだろう。もっとも表向きはルーサー・ヴァンドロスやエムトゥーメイ(特にDトレインを当てたヒューバート・イーヴス)に感化された部分が大きそうではあるが。具体的には、フィリーのスタッフに混じってセッションに参加しているバリー・イーストモンドのモダンなキーボード・プレイが、バックのサウンドを方向性を決定づけているよう。

それでもこの2人が信条とするサザン・マナーの咆哮系ヴォーカルには何ら変化はないし、フィリー時代から受け継いだダンス・ナンバーのメソッドもシッカリ踏襲している。ロナルド・アイズレーっぽい歌い口のポップ・ミディアム<Not With Me>は、意外にも白人女性シンガー・ソングライター:エスラ・モホークの提供曲。

…というわけで、フィリーの伝統と脱フィリーの80'sモダニズムがミックスされた会心作の世界初CD化。まずはご一聴あれ。