Cindy_lauper_menphis来日公演が目前に迫っているシンディ・ローパー。一見おバカなブッ飛びシンガーに見えるけど、下積み生活の長い苦労人だけあって、実はシッカリ足が地に付いている人である。だからヒットが出なくなってもあまり焦らず、やるべきことをキチンとやってきた。このブルース・カヴァー集なんて、まさにそう。

アラン・トゥーサン、B.B.キング、アン・ピープルズ、ジョニー・ラングといった大物ゲスト陣を効果的に配したサウンドは、まさに正調ブルース。シンディの共同プロデューサーには、ハイ・レコードの作品にも関わってきたというスコット・ボマーが当たっている。だが、シンディのヴォーカルが正調であろうはずはなく、いつものように表情豊かでキャラクタリスティック。完全にブルース色に染まってズルズルベタベタのブルース愛を吐露するのではなく、敬愛を示しながらも適当な距離感を保って、アメリカン・ポップスのルーツとしてのブルースを描き出す。だから面白いのだ。グラミー賞《最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム》ノミネートも当然だろう。

ただ、この『MEMPHIS BLUES』が3月7日付週間オリコン洋楽チャートで初登場11位を記録したのは、ちょいと驚き。ブルース・アルバムとしては異例だし、今どきの日本ではシンディ人気だけでココまで到達するとは思えない。やっぱり、何かとうるさいマニアックな音楽ファン、彼女のやることを遠巻きに見ていた連中が動いたからこその数字だろうし、まさにシンディの企画力の勝利といえるんじゃないだろうか。

そうそう、ツアー中のアルゼンチン、ブエノス・アイレスでは、実に彼女らしくて微笑ましいエピソードも。

 「ブルースは人々を勇気づける、元気づける音楽でもあるの。ひどい状況にも負けず、何度でも立ち上がろう! という気持ちを込めて歌ってるわ。今は世界中の人たちがブルーになってる。景気が悪くて、家や仕事も失ってしまった人たちもたくさんいる。何をやってもうまくいかない人もいる。そんなみんなに元気を出して!って言いたいのよ」(シンディ・ローパー)