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『GUITAR WORKSHOP』といえば、渡辺香津美、大村憲司、森園勝敏、山岸潤史らが競演した、J−FUSION史に残る77年の名企画である。これが大評判になったことから、渡辺に変わって秋山一将が参加してライヴ盤が録られ、第3弾はダイレクト・ディスクのスタジオ・ライヴが作られた。しかしその後のシーンの変貌・多様化により、このシリーズも一旦休止。だがその8年後に、舞台をワールドワイドに拡げる形で再開され、88年に『IN L.A.』が、89年に『IN HAWAII』が生まれている。

今回は、TOWER RECORDSがその2枚をフュージョン再発企画に乗せて限定リイシュー。両作品の解説をまとめて引き受け、先ほど商品サンプルが届いた。

まず『IN L.A.』の方は、ジェフ・バクスター、バジー・フェイトン、ジェイムス・ハラー、テディ・カストリッチという、ベテランと新進2人づつをフィーチャー。全10曲を2曲づつ受け持って、残り2曲が4人の競演曲となっている。全体と仕切ったのは、カリズマのデヴィッド・ガーフィールド。収録曲にも、カリズマの曲やそのメンバーたちの書いた曲がある。バックのメンバーも、ジェフ・ポーカロ(ds)、カルロス・ヴェガ(ds)、ジョン・ペーニャ(b)、レニー・カストロ(perc)、ブランダン・フィールズ(sax)など、その筋の関係者ばかり。当然の音の方も、カリズマ feat.ギタリストの誰か、という形になっている。ただしジェフ・バクスターだけは、日本人Kyd奏者の小島良喜を伴って打ち込みで制作。既にスタートさせていたプロデューサー的スタンスを滲ませる。バジーはちょうど、Mr.ミスターへの加入が噂された頃。ジェイムス・ハラーはマドンナ・バンドで頭角を現してきたばかりだったが、テディ・カストルッチはそれまでノー・チェックだった。ちなみにこの当時の新人たち。ジェイムスは現在もセッションで活躍し、最近ソロ・アルバムを出したばかり。テディはサントラやTV方面の音楽に軸足を移している。

そして『IN HAWAII』は、元シーウインドのバド・ニュアネス、カラパナのD.J.プラット、スラックキーの名手でハワイアン・トラディショナル・ミュージックの担い手でもあったカポノ・ビーマー、元ミュージック・マジックで当時のハワイでトップ・セッション・ギタリストの座にいたフレッド・シュレーダーの4人をフィーチャー。こちらの仕切りは、やはりカラパナで活躍中のケンジ・サノで、ハワイ物らしくリゾート色豊かなテイストに仕上がっている。更にケンジの繋がりか、我らが角松敏生が4曲を提供し、アレンジ/プログラミングで参加。これが大きな売りになった。何せ当時の角松は、『SHE IS A LADY』というギター・インスト・アルバムが大ヒットしたばかり。ここに提供したナンバーも、まるでその番外編のような内容になっていた。またポーリン・ウィルソンやマッキー・フェアリーが参加した曲もあって、ギター弾き以外の音楽ファンも普通に楽しめるモノになっていた。

共に入手困難になって久しく、「何気に探していた」なんて人も少なくなさそう。これと一緒にカリズマや知る人ぞ知るkyd奏者バーナビー・フィンチのリーダー作あたりも同時再発されるそうだから、どうぞお見逃しなく。

GUITAR WORKSHOP in L.A.
GUITAR WORKSHOP in HAWAII
Karizma, Barnaby Finch

James Harrah: Words Fail Me