ew&f_all'n_all昨日に引き続きアル・マッケイ〜アース・ウインド&ファイアーのネタから。カナザワにとっては、この『太陽神(ALL 'N ALL)』が、初めて聴いたEW&Fのアルバム。アレは高校生の時で、同時に、初めて本格的に聴いた黒人音楽でもあった。もちろんヒット曲としては、スーティーヴィー・ワンダーやら何やら、ラジオで色々聴いていたけれど…。

当時はディスコで“ファンタジー・ダンス”なるモノも流行っていたな。<宇宙のファンタジー>に乗って、両手を上げながら腰をグリグリするやつ。当時のディスコは曲ごとにフリやステップが決められていて、天の邪鬼なカナザワはそれを毛嫌いしていた。自分のディスコ体験は、もう少し時代が下がって自由に踊れるようになってからである。

それにしても、ロック少年だった自分の耳には、このブチブチのファンクネス、引き締まったリズム・アンサンブルがひどく新鮮だった。このアルバムと次作『黙示録(I AM)』は、ホントによく聴いた覚えがある。当時は<After The Love Has Gone>がデヴィッド・フォスターらの作品という意識もしてなかった。それに気づくのは、エアプレイのヴァージョンを初めて聴いた時である。

だが EW&Fの歩みを俯瞰した上で『太陽神』を聴いてみると、ココでひと皮剥けたような気がしてならない。モーリス・ホワイトやメンバーたちが頼っていたチャールズ・ステップニーが前作『SPIRIT』制作中に急死し、彼らの自覚や危機感がより強固に表現されたのだろうか。長岡秀星のアートワークが象徴するように、圧倒的な存在感と分かりやすさが一気に前へ出てきた印象だ。

冷静に見ると、曲作りやアレンジでグループ外からのヘルプも受けているが、この時はあくまでバンド中心。そのアンサンブルの鉄壁さ、強靭なグルーヴ感は、本作が一番かも知れない。フィリップ・ベイリーがワードレス・ヴォーカルでリードしていくインスト曲<Runnin'>でのアル・マッケイのグルーヴ・マスターぶりったら、カッコ良いこと、この上ナシです。