night一昨日に続いて、エア・メイル・レコーディングさんの再発ネタ。AORと産業ロックの狭間というニッチなところから出現した、知る人ぞ知る好バンド、ナイトの2作品である。初CD化は04年で、米Reneissanceから。その時は2in1の形だったが、今回は一枚づつに戻され、オリジナルに準じての紙ジャケット仕様になった。


ナイトの中心人物は、マンフレッド・マンズ・アース・バンドでシンガーを務めたクリス・トンプソン。彼がいた70年代後半のアース・バンドは、ちょっぴりAORっぽいトコロがあったことで知られるが、それをもたらした当人がこのクリス・トンプソンだった。そんなクリスが、ハスキー・ヴォイスの女性シンガー:スティーヴィー・ラング、ジャズ・ロック系のベーシスト:ビリー・クリスチャン、後にプリテンダーズやポール・マッカートニー・バンドで名を馳せるギターのロビー・マッキントッシュと組んだのが、このナイト。ドラムにリック・マロッタ、キーボードにニッキー・ホプキンスがメンバー面して参加しているものの、実際はレコーディングに協力しただけで、セカンドでは抜けている。

ここに紹介するのは、79年のファースト。英国のバンドながら、大物プロデューサー:リチャード・ペリーのお眼鏡に適って彼が立ち上げたPlanet Labelからデビューしたように、スタンスは完全に米国仕様である。クリス曰く、“コンテンポラリーなアイク&ティナ・ターナー”を目指したらしいが、時代的な背景もあり、少しロック寄りにシフトしたフリートウッド・マック、というのが分かりやすいか。本作所収の代表曲<Hot Summer Night>(全米18位)も、マックと縁深いウォルター・イーガンの作品を取り上げたものだ。

他にもトム・スノウやキャロル・ベイヤー・セイガーの作品を歌っていたり、マイケル・マクドナルドやスティーヴ・ポーカロが参加していたり…と、AOR色もそこはかとなく。マーヴィン・ゲイのカヴァーもある。更にKGBでレイ・ケネディと一緒に演っていて、ソロ作も出しているグレッグ・サットンの楽曲を取り上げたり…。う〜ん、やっぱりニッチだ。

でも、そうしたビミョ〜な匙加減が、マニアには堪らなかったりするんだよな。