m_franks_skindive既に各ネットショップでは速報が流れているので、ご存知の方も少なくないと思うが、拙監修【Light Mellow 2012〜ワーナーAOR/FUSION紙ジャケットSHM-CDコレクション〜】 第2弾の中身が確定した。これはスタッフ5作の再発に次ぐモノで、今回はマイケル・フランクスの10タイトルと、クリストファー・クロス初期2作というラインナップ。クリ・クロの2作には、初CD化となるシングル曲<Mary Ann>と、オリジナル・アルバム未収の超有名曲<ニューヨーク・シティ・セレナーデ>が、それぞれにボーナス収録される。

さて、マイケル・フランクスの旧作がこれだけ一挙に発売されるのは、かなり久しいこと。増して今回は、日本初CD化となる『オーストラリア・ライヴ』までラインナップに加えてあるから、そのヴォリュームは未だかつてなかったモノになる。それが紙ジャケット/高音質化でリイシューされれば、音にウルサいフュージョン系ファンも注目せざるを得ないだろう。

特にカナザワ個人としては、とっくに評価が固まっている『THE ART OF TEA』や『SLEEPING GYPSY』よりも、80年代に入ってアーバンなランドスケープに彩られるようになった作品群にスポットを当てたいところ。確かにチョッと打ち込みが過ぎたり、音のエッジが尖り過ぎていたりする部分はあるが、マイケル自身のインテリジェントな歌声は何ら変わりがないし、この時期だからこそ生まれ得た名曲も少なくない。『PASSION FRUIT』収録の<Rainy Night In Tokyo>はその代表。本作に入っている<Your Secret's Safe With Me>は、メジャー・デビュー・シングル<Popsicle Toes>以来のヒット(Adult Contemporary Chart 第4位)になった。ブレンダ・ラッセルとのデュエット<When I Give My Love To You >も、同15位を記録している。マイケルのアルバムで一番好セールスを上げたのも、実は『THE ART OF TEA』や『SLEEPING GYPSY』ではなく、 82年の『OBJECTS OF DESIRE(愛のオブジェ)』。確かに初期2作はマイケルの代表作に相応しいが、それだけですべて分かったような気になられては、チョッと困る。

例えば、スティーリー・ダン『GAUCHO』やドナルド・フェイゲン『THE NIGHTFLY』と、この時期のマイケルには、共通点が沢山見い出せるハズ。どちらもロブ・マウンジー(kyd)の貢献が高いモノであるし。その辺りをもっと広く知らしめる機会になれば、監修者としても大変嬉しいなぁ…。