van_halen_012遂に出た。ヴァン・ヘイレンとしては14年ぶり。オリジナル・シンガーのデヴィッド・リー・ロスが本格復帰してからは、実に28年ぶりのニュー・アルバム。エディー・ヴァン・ヘイレンの闘病による活動休止は致し方ないにしても、随分時間を無駄にしたなぁ〜、という感じ。でも長く待たされただけのコトはある、価値ある新作といえるな。

ヴァン・ヘイレンというと、デビュー・アルバムにしたたかなショックを受け、毎日のように聴いていた時期があるカナザワだけど、既にハード・ロックからは離れつつあった時期なので、その後のアルバムはサラッと聴いてチェックする程度。それでもエディーの天才ギタリストぶりとダイアモンド・デイヴのおバカなキャラが相まって、如何にもアメリカン・ハード・ロックらしい、あっけらかんとした魅力があった。

初期モントローズの大ファンだったから、サミー・ヘイガーの加入は驚くと同時にほくそ笑んだモノだけれど、実際のサミー入りヴァン・ヘイレンにはずーっと違和感というか、座りの悪さを感じていた。商業的にはデイヴ在籍時以上に成功したが、何か真面目過ぎるというか、先が読めてしまうというか。オリジナル期の破天荒な天然キャラが、いつの間にか計算づくの産業ロックになっていて、“これでイイのかな?” という気がしていたのである。

だからこのアルバムには、素直に万歳三唱。正直、ココまで徹底してハードに攻め立ててくるのは予想外だったし、シングル・ヒット向きの楽曲を欠く嫌いはあるのだが、そういう理屈をはね除けて猪突猛進して来るヴァン・ヘイレンがココにいる。確かに4人中3人が血の繋がったヴァン・ヘイレン・ファミリーになったことで、何処までデイヴの意見が尊重されるのか?、という不安もないではない。しかし<Stay Frosty>のようなシャッフルは、やはりデイヴでこそ映える。

デラックス・エディションで観られるアコースティック・セッションでは、デイヴがホントに楽しそうでひと安心。サミー時代もそれはそれで良かったが、やっぱりヴァン・ヘイレンには真面目なサミーより、デイヴのおバカなキャラがよく似合う。野球で言えば、長嶋と王の違い(喩えが古いか…)か。あの突き抜けた魅力が、ヴァン・ヘイレンを唯一無二の存在にしていたのだな。ルックスは多少老けたものの、こうなったら、やっぱり生で観たいぞォ〜。