pleasure2某音専誌のレビュー用に、最近再発されたプレジャーの2nd(76年)を。以前ファーストの『DUST YOURSELF OFF』(75年)との2in1で出ていたが、今回は単独でのリイシューで、帯・解説付き(英文ライナーの和訳)の国内仕様盤も出るというコトらしい。

プレジャーは以前から好きなグループで、アナログ時代にせっせと買い集めた。ジャズ・グループともファンク・バンドとも言えないようなニッチなバランス感が絶妙で、それがカナザワの肌に合ったみたい。オレゴン州ポートランドで活動している時に、グローヴァー・ワシントンJr.に発掘され、それがウェイン・ヘンダーソンに伝わって、彼主宰のアット・ホーム・プロダクションと契約。ウェインのプロデュースで続々アルバムを出していくと同時に、アット・ホーム・プロの箱バン的活動でキャリアを築いた。だから、ウェインがいたクルセイダーズが“テキサス・ファンク”と呼ばれたような部分があるのだが、彼らよりはずっとファンキー&ソウルフル。一番近いのは、同じFantasy labelに籍を置いていたブラックバーズだろう。

元々はSoul MatesとFranchiseという2つのハイスクール・バンドが合体して生まれたそうで、デビュー時の8人のメンバーのうち、6人が黒人、2人が白人という比率。中心人物はFranchiseのギタリストだったマーロン・マクレインで、後にジェフ・ローバーと深く関わり、ダズ・バンドのメンバーになる。が、やはり一番はこのプレジャー時代。ミキ・ハワードやヘレン・ベイラー、シルヴィア・セント・ジェイムスらを輩出したオギー・ジョンソン率いるサイド・エフェクト、弟分のL.A.ボッパーズ、そしてサックスのロニー・ロウズやポスト・ジョー・サンプルのボビー・ライルなど、この当時のアット・ホーム・プロは、本当に人材が豊富だった。

でも当時のプレジャーは、ファンク好きからはジャズ寄りだと敬遠され、ジャズ・ファンからは“こんなのジャズじゃない”と斬って捨てられて、なかなか売れなかった。結局Fantasyから6枚のアルバムを出したあと、心機一転、ランディ・ホール(マイルス・デイヴィスやレイ・パーカーjr.との絡みで知られる)をヴォーカルに迎えてレーベルを移り、一気にブラコン化を図る。その作品『GIVE IT UP』はなかなかグレイトな内容だったが、逆に彼ら自身のアイデンティティを失って幕引きを早める結果になった。

でもそんなヤヤこしいことを考えずに活動できた初期作品が持つ、この意気揚々としたジャズ・ファンク・マナーはどうよ 確かにカテゴライズしにくいけれど、昨今のレア・グルーヴ・シーンでの高評価を見れば分かるように、サウンド自体は実に素晴らしい。実際このセカンドからは、<Ghettos Of The Mind>という初ヒット(R&B71位)も出た。ただしコレがまた、ホーンが活躍するアーバン・ファンクなインスト・チューン。バンドにはリード・シンガーがいるのに、この曲ではコーラス程度で存在感が薄い。楽曲的にはカッコ良いけど、これじゃあやっぱり売りにくいよなぁ…。

それでも彼らはジワジワと支持を広げ、『JOYROUS』や『FUTURE NOW』といった快作を出していくことに。しかし彼らの作品のCD化は、まだ道半ばである。今後にも期待したいところだ。