spaceark_1レア・グルーヴ・シーンで発掘されて注目を浴びていたカリフォルニア・ベースのローカル・バンド、スペースアーク。 3ヶ月前にリイシューされて奇跡のCD化として話題になったセカンド『SPACEARK IS』に続き、今度は1作目「SPACEARK』が再発された。

“西海岸産AOR〜メロウ・ソウル・バンド”という触れ込みで登場した彼らだったが、先に登場したセカンドにロック的要素は少なく、ゆったりハネる16ビートのミディアム系メロウ・ソウルが中心。しかしこのセカンドは、ややロック〜ポップス色が強い、という話だったので、ちょっと期待を寄せていた。

方向性としては、概ねその通り。ソフィスティケイトされたトロイ・ラグリンのソウルフル・ヴォイスもイイ感じだし、ギターは前作よりもフィーチャーされて、時折ドゥービー・ブラザーズを思わせたりする。楽曲によって初期クラッキンを髣髴させるが、一方でブルー・アイド・ソウルというよりL.A.スワンプに近いマテリアルも…。

そうなのだ。キャッチ・コピーを鵜呑みにして、78年産であるセカンドの洗練度のままロック寄りにシフトしたものと思い込んでいたら、どうやら最低でも2〜3年は遡っている雰囲気。正式な発表年のクレジットはないが、サウンドから察すると、70年代前半ではないかと思われる。この時期の2〜3年、しかもインディ作品となると、実質には数年分に近いプロダクション・ギャップが発生する。結論を言ってしまえば、それだけ垢抜けてない、というコトだ。

確かにグルーヴそのものには、時代性はあまり表れない。ベースがスラップを演ってたりしない限りは。だが上モノ、特に鍵盤系は、ご存知のように進化が著しい。このアルバムにもそれがハッキリ出ていて。生のストリングスの代わりとして使われているのは、何と、メロトロン、のようである。

このメロトロン、60年代後半〜70年代初頭頃のプログレッシヴ・ロックで多用された鍵盤楽器。ポリフォニック・シンセサイザーのなかった時代に、重厚なストリングス・サウンドを再現し、一世を風靡した。楽器としては音源を持たず、カセット式のテープをセットして鍵盤で音を出すという、いわば元祖サンプリング・マシンである。だがテープから音源を拾うため、音の立ち上がりが悪いのが難点。ビート重めのプログレなら問題ないが、この手のグルーヴ物でリズムがルーズでモッサリしていては、少々辛い。本物のストリングスを呼ぶ金はなくても、ちと他の手はなかったのか?と思う。

それでも、サバービア誌に曲名を挙げられた<Everybodys Trying>、<Welcome To My Door>、<Our Love Will Last>、<This World>あたりを中心に、ローカルなハンドメイド・テイスト溢れる西海岸ソフト・ソウルが楽しめること請け合い。個人的には、アルバム未収だったというシングル曲<Beautiful Machine>の、アコギのカッティングの心地良さにウットリ プレAOR的な音がお好みの方なら、結構イケると思うな。