memphis_hornsタワー・オブ・パワーやフェニックス・ホーンズ(E.W.&F.)特集の執筆で、サックス&ブラス・マガジン誌とのお付き合いが始まったカナザワ。以前よりもホーン・セクションへの興味が増してきたところに、ちょうどタイミング良く、Funky Town GroovesのHidden Treasure Seriesからメンフィス・ホーンの2in1が登場した。

メンフィス・ホーンズといえば、名門レーベル:スタックスの誕生と共に産声を上げた大ベテランの5人組ブラス隊。オーティス・レディング、ウィルソン・ピケット、サム&デイヴ、アレサ・フランクリン、アル・グリーン、ダスティ・スプリングフィールドなどのレコーディングで活躍し、ブッカー・T.&ザ・MGズとのセットで起用された。個人的にはロッド・スチュワートやドゥービー・ブラザーズのアルバムに起用され、名前を覚えた記憶がある。エボニー&アイボリーの編成は、メンフィス・ソウルの伝統か。

70年に自己名義のファースト・アルバムをリリース。本作の英文ライナーには、76年のセカンド『HIGH ON MUSIC 』と77年のサード『 GET UP AND DANCE』の2in1とあるが、実際は72年に『HORNS FOR EVERYTHING』なるアルバムがあるので、3枚目と4作目が正解。ちなみに5作目のタイトルは、『THE MEMPHIS HORN BAND 2』という。エエぃ、ヤヤこしい

『HIGH ON MUSIC』はブッカー・T・ジョーンズがプロデュースした作品で、基本的にディスコ寄りのファンキー・インスト。 しかし『GET UP AND DANCE』の方はヴォーカルの比重がググッと増していて。ベーシックはL.A.録音で、洗練度も一気に上がっている。参加しているのは、ヴォーカル陣にデニース・ウィリアムス、ジョン・ヴァレンティ、D.J.ロジャース、ジム・ギルストラップ(元サイド・エフェクト)など。演奏陣はクラレンス・マクドナルド(kyd,arr)、ジェイムス・ギャドソン(ds)、ジェイ・グレイドン(g)、マルロ・ヘンダーソン(g)、デヴィッド・シールズ(b)といった辺りで、クラレンスはコ・プロデューサーも務めている。故に出てくるのは、上質の西海岸産シティ・ソウル。以前の名残りのイナタさは、そのまま彼らのソウル表現でもある。

でも本当にCDで聴きたいのは、マイケル・マクドナルドやビル・チャンプリンがリード・ヴォーカルを取る、『THE MEMPHIS HORN BAND 2』なんだけどね…。ちなみに彼らはしばらく解散状態になっていたが、92年に結成メンバーの2人で復活している。