mtbついこの前、ネイティヴ・サンとして『SON TALK』をリリースしたと思ったら、矢継ぎ早に今度はマイケル・トンプソン・バンドが復活。基本的にスタジオ・セッションの人というイメージがあるが、デヴィッド・フォスター&フレンズのツアー参加を蹴ったら、仕事が減っちゃったのかしらね? 急に自分の活動に力を入れ始めた感じがするけれど、こんな好作が出て来るなら、それもヨイかも…。

ただし、昔の名前で出て来ても、中身はちょっと違う。つまり、マイケル・トンプソン・バンド(MTB)名義のファースト『HOW LONG』(89年)は、TOTO〜マクサスのラインを継承するウエストコースト系AORだったが、今回はその路線を引き継ぐ楽曲を用意しつつも、ヨーロッパのメロディアス・ハード系ファンをメイン・ターゲットに見据えている気がする。マイケルは数年前にジョン・ロビンソン(ds)やマーク・ウィリアムソン(vo)と TRW なるユニットを組んで、結構ハードなアルバムを出したが、今度のアルバムは、ちょうどそれとMTBの中間のセン、と言えるか。程よく産業ロック的なポップさを持ち、ちょっと重めのシャッフルを聴かせたりする。

ヴォーカルは、Soleil Moonというバンドで歌っているラリー・キング。実はカナザワもよく知らん人だが、マイケルと共に曲作りに深く携わり、プロデュースにも名を連ねる。AORシンガーとしてはやや一本調子な感じもあるけれど、メロディアス・ロック的な適応力は充分で、結構な実力派とお見受けした。ちょっとルー・グラム(ex-フォリナー)っぽい哀愁感もある。これでパーマネントなバンドとしてガッチリとライヴ活動が行えれば、スティーヴ・ペリー加入直後のジャーニーくらいにはなれるかも。