allan_holdsworth某音専誌のギタリスト特集で、アラン・ホールズワースについて少々。決して好みのタイプではないけれど、初めて聴いた頃にしたたかな衝撃を受け、しばらく積極的にチェックしていたギタリストの一人なのだな。

初めてアランのプレイを聴いたのは、ビル・ブラッフォードのファーストだったか。コレやUKのファーストが出た頃は、“変なギター”としか思わなかったが、そこはまだ年端も行かぬ高校生。少しづつ自分の音楽観を拡げていくと同時に、その変なところに興味を引かれてゴングに手を伸ばし、ソフト・マシーン『BUNDLESS(収束)』で見事にハマッたわけだ。

最近のアランのギターはあまりに流暢すぎて、トコロテンのように捕らえ処がない。けれどあの当時は、まだ結構ロックしていて。エディ・ヴァン・ヘイレンが彼のフリークとして有名だが、スティーヴ・ヴァイとかの80年代以降の早弾き系ギター弾きは、必ずやアランのプレイを参考にしたはず。しかもフレージングも楽曲のコード進行も奇妙。単にジャズ寄りなのではなく、クラシックの影響もあるし、ヨーロッパでも東欧的なムードやオリエンタルな空気が漂う。まさにワン&オンリーの世界観を持っているギター弾きなのだ。日本でもプリズムの和田アキラとか、モロだったね。一般的には完全に無名ながら、それくらいの強い影響力を持つミュージシャンズ・ミュージシャンだ。

なのに、UK〜ブラッフォードを渡り歩いた後の数年は仕事がなく、ギターを売って生活費を捻出したとか。82年の本格的な初リーダー作『I.O.U.』(実際は2作目)は、借金しまくりの自主制作盤で、"I Owe You"からタイトルが付けられた。その後エディらのサポートがあって、ようやくソロ活動が軌道に。84年の本作は、数ある彼のソロ作の中でも、ロック色の強い作品としてファンの人気が高い。

ただ個人的には、ソロ期になってからのフュージョン・ライクな演奏より、やはりジャズ・ロック的なプレイを聴かせた初期の方が好き。もし選ぶなら、ソフト・マシーンかトニー・ウィリアムス・ニュー・ライフタイムの2作だな。