squackettイエスのクリス・スクワイアと元ジェネシスのスティーヴ・ハケットによる新プロジェクトのデビュー・アルバムが登場した。漢字のように見えるアートワークは、“ SQUACKETT”の綴りを漢字っぽい形に組んだもの。ユニット名も単純に2人の名をくっつけただけで、どうも全体的にコンセプトがイージーな気がする。そしてそのサウンドは……

結論から言うと、良いところも悪いところも含めて、やはり発想は足し算的か。トータルな印象は昔のジェネシスっぽくて、ミディアム・テンポの叙情的な楽曲が多い。しかし、あのビンビン来るベースはもちろん、コーラス・ワークなどはイエス色が濃厚。シーンが変わった時などに、突然イエス的なスタイルが顔を出してハッとさせられる。でもそこに乗ってくるのがヒステリックなスティーヴ・ハウのギターではなく、耽美的なスティーヴ・ハケットのプレイなワケで、そこが新鮮であり、また違和感もあり。

まぁ、これだけのキャリア組が新たなチームを組んだところで、今までなかったようなケミストリーが生まれるとは考えにくい。そうした意味では予定調和の範囲内。どうせなら、個性のあるシンガーを立て、kydとdsに強力なミュージシャンを呼んでバンドっぽいフォーマットにすれば、もっと面白くなったのにね。タイトル曲の<カシミール>(by Led Zeppelin)みたいなリフも、何だかなぁ…。

それでも、妙にポップな<Devided Self>や、ドラマ・イエスみたいな<Sea Of Smiles>など、聴き処もそこかしこに。スクワイアとハケットの組み合わせに、ハハンと頷ける人なら、大きく裏切られるコトはないだろう。近年はハケットのソロも充実しているようだし、イエスの最新作もそれなりに楽しめた。そして今、ちょっぴり斜に構えながらも、案外納得してコレを聴いている自分がいる。