rickie_lee_12今朝は、米国の国民的シンガー:アンディ・ウィリアムスの訃報で幕を明けた。映画『ティファニーで朝食を』の主題歌として知られる<ムーン・リバー>を始め、<酒とバラの日々>や<ある愛の詩>など、スクリーン・ミュージックに数多くの代表曲がある。カナザワ的にはまったく縁のないシンガーだったが、あの甘い歌声が世界を魅了したのは確かだ。割と最近までステージに立ち、衰え知らずの歌声を聴かせていたそうだが、膀胱ガンを患って闘病していた。享年84歳。ご冥福をお祈りします。

そして夜は、リッキー・リー・ジョーンズ@Blue Note Tokyo。先週、ユニークなカヴァー・アルバム『THE DEVIL YOU KNOW』が日本発売されたばかりというタイミングだから、ライヴも当然そこからのレパートリーが中心になる、と思いきや、ドラムレスの編成がそれっぽいだけ(リッキーのアコギ&ピアノに、ギター×1、チェロ×1)…。毎度のことながら、リッキーは何処までも奔放で、いつものようにセット・リストも作らず、その時能裏に浮かんだ楽曲を歌い綴る。それでも、サポートの2人は慌てる素振りもなく、的確に彼女に付いていく。ドラムレスということで、アンサンブルは静謐なのだが、その分、リッキーの歌声が雄弁に聴こえてくるようで、以前観たステージよりもリッキー度が高い感じ。

結局新作から演じたのは、このステージでは、ストーンズの<Sympathy For The Devil(悪魔を憐れむ歌)>と、プロデューサーであるベン・ハーパーの<Masterpiece>くらいか。自分が一番聴きたかった初期楽曲も、<Chuck E's In Love>どころかファーストからは1曲も演らず。その代わり、2nd『PIRATES』からは、タイトル曲と<Lucky Guy>を披露。どうもこの回は、『FLYING COWBOYS』以降の楽曲が多かったみたい。ラストに歌ったのも、『TRAFFIC FROM PARADISE』収録の<Rebel Rebel>(デヴィッド・ボウイのカヴァー)だった。

その表情は終始ニコヤカで、声の調子も良さそう。「こりゃあ、気分よく歌っているな」と思ったが、アンコールはナシ。まぁ、それがリッキー・リーのリッキー・リーたる所以だろう。これはこれで良かったが、彼女のコンディションと選曲の良さが揃うタイミングに出喰わすには、もっと彼女のライヴに足を運ぶ必要がありそうだ。