noriyo_ikda国内外からの訃報続きで、なかなかアップできなかったが、池田典代のワン&オンリー作『DREAM IN THE STREET』の解説原稿を入稿済み。これは少し前に紹介したKAYと同様、タワー・レコードの復刻シリーズ【Tower To The People】とカナザワ監修【Light Mellow's Picks】のタイアップによる再発で、12月5日にタワー・レコード限定で発売される。

池田典代は、一般的には完全に無名のシンガーだが、山下達郎フリークの間では結構知られた存在で。実はこのアルバムのタイトル曲は、達郎さんの書き下ろし。氏がファン・クラブ会員向けに作った編集盤『山下達郎作品集Vol.1』に、シッカリ収録されている。それにもうひとつ、同じ04年に、カナザワ監修で組んだ和モノのコンピ・シリーズの徳間ジャパン編『Light Mellow Pavement』にも、その<Deream In The Street>を曲を入れた。おそらくこの曲がCDになったのは、その2回きり。フル・アルバムのCD化は、今回が初めてのはずだ。

事前に掴んでいた情報としては、彼女は達郎さんが新宿や下北沢のロフトに出演していた頃の知り合いということ。レコーディングから79年の発売までに紆余曲折あり、楽曲の入れ替えやミックスのやり直しなどが行われたということ。その結果として、件のタイトル曲も2つのミックスが存在すると言う。これはすべて、達郎氏自身が上記作品集のセルフ・ライナーで記していた裏話だ。

しかし折角の再発に、それではあまりにネタ不足。そもそも達郎さんが絡んでいたのも、タイトル曲1曲だけだし。そこで、たまたま以前知り合った、このアルバムのアシスタント・ディレクターと久々にコンタクトを取り、そこからこのアルバムのメイン・ディレクターだった方と接触。電話でいろいろな情報を頂戴した。

達郎氏を筆頭に、松岡直也、村上ポンタ秀一、鈴木茂、佐藤博、小林泉美、森園勝敏、山岸潤史、小原礼、高橋ゲタ夫、野呂一生、ジョニー吉長、土屋昌巳、清水信之、中村哲、渡嘉敷祐一、渡辺建、久米大作… etcと並んだ参加ミューシャンは実に壮観。当時はまだセッション・マンのイメージが薄いメンツが少なくないし、ロック系や関西系の人もいる。カシオペアはまだデビュー直前、プリズムは3枚目のアルバムを出す頃か。そうした幅広い人脈を掻き集めたのは、その元ディレクター氏だった。しかしその方の名前はアルバムから外され、スペシャル・サンクスにクレジットされているのみ。差し替えられてお蔵入りした楽曲には、当時は達郎氏や松岡さんよりも人気のあったミュージシャンが参加していたそうで、しかもその楽曲にはトンでもない後日談がある。

おっと、その続きはCDの解説にて。

DREAM IN THE STREET/池田典代