rascals_timepeace1週間ぶりの洋モノ。たまたまライヴが重なったこともあるけれど、とにかく昨年暮れからソソられる和モノの再発が多い。でも今日はラスカルズの紙ジャケット・リイシューをご紹介。昨年11月末に出ていたので、もう発売から1ヶ月半経っていることになる…

ラスカルズといえば、元祖ブルー・アイド・ソウルの代表格であり、AORのルーツとしても取り沙汰されることが多いグループ。しかし、60年代の彼らは基本的にポップ・バンドであり、かの<Groovin'>で表現されたソフィスティケーションは、むしろ突発的といえた。だがそこから何かが変わり始めたのは間違いなく、アトランティックでの最終作『SEARCH AND NEARNESS(ラスト・アルバム)』(71年)から、ロン・カーター(b)やヒューバート・ロウズ(flute)などのジャズ・ミュージシャンが参加するようになる。それを機にオリジナル・ラインナップが分裂。米コロムビアに移籍し、バジー・フェイトン(g)やロバート・ポップウェル(b)らが加入して、ジャズ色を取り込んでの実験色濃厚なサウンドを打ち出した。これは全然売れなかったが、AORを歌モノ・クロスオーヴァー・ミュージックの完成形と捉えるなら、この時期のラスカルズこそ一番面白い存在だと思う。

このベスト盤は、デビューから<Groovin'>のヒットを挟んで、“ヤング・ラスカルズ”が“ラスカルズ”になる4作目『ONCE UPON A DREAM(夢みる若者)』までの歩みをまとめたもの。言い換えれば、変化への胎動が始まるかどうか、という頃までの総括である。それでも<Easy Rollin'>あたりには、それまでのヤンギーなパワー・ポップ指向とは異なるニュアンスがチラリ。<Beautiful Morning>はラスカルズ名義になってからの最初のシングルで、全米3位になったものの、何故かオリジナル・アルバムには収録されず、当時は本作だけに収められた。

ちなみにカナザワは、ラスカルズに関しては、98年に山下達郎企画・監修でリリースされた7枚組『ラスカルズBOX〜Atlantic Years』で充分事足りると思ってきた。よって、04年に『ALL I REALLY NEED:The Atlantic Recordings 1965-71』が出ても動じず、昨年それが国内リリースされても無視をキメ込んでいた。でも、いよいよ紙ジャケ・リリースということになって、とうとうマニアのムシが疼き出し…

実際に聴くかどうかも分からんのに、手元にあればとりあえず安心する。あーあ、我ながら変なムシを飼ってしまったものよのォ…

そういやタワー・レコード限定で、こんな物も密かに初CD化済み。おっと、これには先を越されたなぁ〜

ブリガッティ/LOST IN THE WILDERNESS