sea_levelほう、ようやくシー・レヴェルにスポットが当たりましたかッ オールマン・ブラザーズ・バンドの分派であり、今ではストーンズのお抱えキーボード・プレイヤーであるチャック・リーヴェル率いたシー・レヴェルの、これは77年の2ndと78年の3rd。

プロデューサーは、デビュー作からずっとスチュワート・レヴィン。チャックはオールマンにジャズを持ち込んだ人と言われるが、オールマン解散からすぐに立ち上げたシー・レヴェルは、もろにクルセイダーズの音だった。これはスチュワート・レヴィンの影響というより、そういう音を演りたかったから、クルセイダーズを手掛けたレヴィンを呼んだに違いない。だが少しジャズに寄り過ぎたためか、『CATS ON THE COARST』ではオールマンよろしく2人目のギタリストと2人目のドラマー/パーカッション、それにシンガー・ソングライターでサックスも鍵盤もOKというランドール・ブラムレットを迎え、7人編成となって多少ロック方向に揺り戻した。

しかし『ON THE EDGE』では、オールマンから引き連れてきたリズム・コンビのうち、ジェイモ(ds)が再編オールマンズに出戻り。前作加入のドラマーも脱退してしまう。そこに加入したのが、ポール・マッカートニー&ウイングスを抜けたジョー・イングリッシュだ。この人は名前こそイングリッシュだけど、元々は米南部生まれ。ニュー・オーリンズで『VENUS & MARS』をレコーディング中だったウイングスからドラマーが急に抜けたため、現地オーディションでポール一行に合流。ウイングス最盛期を支えたが、地元が恋しくなって帰ってきたのである。で、この『ON THE EDGE』が傑作。クルセイダーズ大好きなカナザワは、1st『SEA LEVEL』も大好きなんだけれど、オールマンから辿っていたサザン・ロック好きは、これが一番馴染みやすいかも。

…というワケでカナザワは、サザン・ロックではなく、リアル・クロスオーヴァーなバンドとしてシー・レヴェルを楽しんでいる。グレッグ・オールマンのバンドにニール・ラーセンがいたり、再結成後のオールマンが少しメロウな音作りを試みたりしたことを考え合わせると、この時期のサザン・ロック・シーンも違った側面が見えて来るよ。