wings_over_americaまたも出ました、ポールの豪華ボックス。これでもかと言わんばかりのグッズの多さに唖然とするが、当時の貴重な写真やチケット、パンフのレプリカなどは素直に嬉しい。でもリトグラフなんかは、ハッキリ言ってどうでもいいな。それでもこのSuper Deluxe Editionでしか聴けない音源、観られない映像があれば、黙って付き合うしかないだろう。ま、今の忙しさでは、映像の方はいつになったら観られるか分からないが…。

とにかく、ビートルズ解散後のポールの活動の中で、一番充実していた時期のライヴである。今では数多くのライヴ盤や映像作品を出しているポールだけれど、基本に置かれるべきがコレなのだ。76年当時はまだカナザワも高校生だから、アナログ3枚組を買うのは“清水の舞台”モノだったのを思い出す。

何よりサイコーなのは、ライヴ・アルバムとしての臨場感。とにかくこの時点ではポール単独の来日は実現していないワケで、日本のオーディエンスには枯渇感があったのだ。ポールのライヴは基本的にスタジオ録音の再現だから、本来はライヴ演奏自体を取り上げて云々するタイプの人ではない。それなのに、ウイングスの演奏の熱量、ツアー終盤で多少枯れ気味のポールの声に、何よりライヴ感を感じさせられる。<Beware My Love>なんて、鬼気迫る感じで、マジ凄いっス

ようやくビートルズ・ソングを取り上げるようになった、という点でも注目されるコトが多いが、何よりポール自身がウイングスを成功させようと一生懸命だった。そして試行錯誤の末に、やっと“バンド”と呼べるような充実のラインナップを得て、ノリノリで物事を進めていたのがこの時期だった。この3CD(+ツアー・ドキュメントのDVD)を聴いて、同時購入したライヴ映像「ROCK SHOW』を観るのが、ますます楽しみになったな。昔のVHS版をダビングして持っていたけど、人に貸したきり戻って来なかったのよ… でもやたら画像が暗かった覚えがあるので、レストアされて観やすくなっているんだろうな