roberta_flack_one夜は渋谷で、我が【Light Mellow's Choice】からアルバムを出すことになっている、シティ・ソウル系実力派新人グループとの懇親会兼ミーティング。今回は、スーパーヴァイザー/アドヴァイザーとして絡んだRenajaや中澤ノブヨシの時とは違って、カナザワももっと深く作品作りに関わることになっている。例えばアレンジャー選びとか、全体の方向性を定めるとか。いわゆるディレクター的役割を担うワケだけど、肩書きは一応トータル・プロデューサーになりそう。コレ、結構プレッシャーです。

さて今日のご紹介は、先月31日にAtlantic/ワーナー時代のアルバム群全12枚が紙ジャケット/高音質盤仕様で一挙リイシューされたロバータ・フラック。彼女のソロ・アルバムだけでなく、ダニー・ハサウェイやピーボ・ブライソンとの共演盤もシッカリとラインナップされ、そのたおやかな魅力を全方位的に紹介している。

彼女のキャリアで有名なアルバムというと、<やさしく歌って>を含む4thソロ『KILLING ME SOFTLY(やさしく歌って)』(73年)、<Feel Like Makin' Love>入りの5thアルバム『FEEL LIKE MAKIN' LOVE(愛のためいき)』、それにダニー・ハサウェイとの『ROBERTA FLACK & DONNY HATHAWAY』(72年)あたりになるだろう。

それはそれで異論はないが、ちょっと過小評価だよなぁ…と常々思っているのが、82年発表の10作目『I'M THE ONE』だ。確かに大きなヒット曲はなかったアルバムだが、ラルフ・マクドナルドとそのブレーン(ウィリアムイートン&ウィリアム・ソルター)によるプロデュースで、何ともアーバンなオトナの作品に仕上がっている。

当時のラルフ一派は、グローヴァー・ワシントンJr.『WINELIGHT』や渡辺貞夫『FILL UP THE NIGHT』などの制作で波に乗っていた頃。一方でロバータとも縁が深く、バック・メンバーを務める傍ら、ロバータ&ドニーに拠る名デュエット<Where Is The Love>などの楽曲提供でも貢献度が高かった。そうした良い流れに乗って生まれたのが、本作『I'M THE ONE』である。

録音メンバーは、まさに『WINELIGHT』と同じで、スティーヴ・ガッド(ds)、マーカス・ミラー(b)、エリック・ゲイル(g)、リチャード・ティー(kyd)など。グローヴァーも客演している。作曲陣は当然ラルフ一派が中心だが、その中にボビー・コールドウェル提供の<Never Loved Before>、ブレンダ・ラッセル作<My Love For You>、バート・バカラックがキャロル・ベイヤー・セイガーやブルース・ロバーツと共演した<Making Love>が入っている。<Ordinary Man>はピーボ・ブライソンの提供。元々人種を超越したポップ・ミュージックを標榜していたロバータだが、本作は、よりアダルト・コンテンポラリーなテイストに近づいた一枚でもあった。

今回のリイシューでは、しばらく激レア状態だった78年の『ROBERTA FLACK(愛の絆)』もラインナップされているし、名盤『やさしく歌って』もグランド・ピアノを模したギミック・ジャケが再現されている。これは見逃すべからず。でも考えてみればロバータって、91年に出した『SET THE NIGHT TO MUSIC』(今回リイシューから洩れたのはアナログ盤が出てなかったから?)以降、企画アルバムが続いていて、純粋なオリジナル作品を出していない。イイ歌を歌えるうちに、起死回生の一作を!