ewf_forever_「出る、出る!」といって足掛け3年!? ほとんど狼少年と化していたアース・ウインド&ファイアーの新作『NOW, THEN & FOREVER(邦題:フォーエヴァー)』が、いよいよ9月11日に降臨。自分の元にも白盤が届いた。

結果的に05年作『ILLUMINATION』以来8年振りとなったニュー・アルバム。フィリップ・ベイリー、ヴァーディン・ホワイト、ラルフ・ジョンソンの共同始動体制を敷いてもう10年ほど経つけれど、ここへ来てようやくモーリス・ホワイトの影から抜け出した気がする。それはきっと若手のサポート・ミュージシャンを引き連れて、未だに全盛期と変わらぬ規模の世界ツアーを行なっている成果。そりゃー小屋は多少小さくなったが、本数自体は決して衰えていないんじゃないか。

主だった参加メンバーを書いておくと(ライナー担当:林剛氏のFaceBookからの情報)、バックの中心にいるのは、やはり近年のツアー・メンバーたちで、特にフィリップ・ベイリーJr.とデイヴィッド・ウィットワース(元14カラット・ソウル)の貢献度大とか。フィリップJr.は、従兄弟のジェヴォン・マクグローリー(つまりフィリップSr.の甥)と共に、ソングライトやプロデュースも担当しているそうだ。またプロデュースには、ジル・スコットやミュージック・ソウルチャイルドでお馴染みのJR.ハトソン(リロイ・ハトソンの息子)の名が。作曲陣には、『I AM』や『FACES』で活躍したアリー・ウィリス、クインシー・ジョーンズと来日したばかりのサイーダ・ギャレット(マイコー<Man In The Mirror>の作者)、更にレイモンド・クロスリーやレスリー・スミスがクレジットされているらしい。ホーン隊のアレンジも、やはり往年のジェリー・ヘイとベンジャミン・ライト。そして実際に元EW&Fホーンズの面々やゲイリー・グラント、チャック・フィンドレーといったお馴染みさんがブロウしている。トランペット・ソロではテレンス・ブランチャード、ギターでは現メイズのジョン・ジュブ・スミスがプレイしているそうだ。

そして何より一番の注目は、全盛期メンバーのラリー・ダンが、大半の曲でキーボードを弾いていること!! 彼はあくまでゲスト参加だそうだが、そういえばシンセの音がなかなか個性的ではある。現時点では何処までがラリーのプレイかは分からないが…。

こうしたクレジットから察せられるように、今作は前作と違って、will i.amなど最近のヒップ・ホップ・アーティスト人気におもねる所がない。もちろん裏方ではその筋からの参加もあるが、表向きは往年のアース・ファンがすぐに馴染んでしまうスタイルが貫かれている。そういう意味では、少々小振りになった感がしないでもないけれど、70〜80年代の大風呂敷がそのまま今に通用するハズもなく、コレはコレで潔い決断ではないか。その一方で、ワールド・ミュージック的要素やジャズの取り込み方は、何処か往年を思わせて。延期に継ぐ延期は、その辺りのバランス感を熟考していたからに違いない。

通して聴くと、確かに アッと驚くような斬新さには乏しい。けれど、ナイル・ロジャース起用のダフトパンクがNo.1を穫ったり、エディ・グラント風味のロビン・シックが大当たりするご時世である。3年寝かせたことは、原点回帰を目指したアースにとって、必ずや追い風になるはずだ。