fleetwood_mac74密かに心待ちにしていたフリートウッド・マックの紙ジャケ・リイシューが到着。まぁ、代表作である『RUMOUR(噂)』や『ファンタスティック・マック』は出ないのだけれど、故ボブ・ウェルチ好きとしては、70年代前半の低迷期作品群もそれなりに愛おしく…。

今回リイシューされた7作中、ボブ参加作は71年『FUTURE GAME』以降の5枚。有名なのは、ソロでもヒットさせた<Sentimental Lady>収録の加入2作目『BARE TREES(枯木)』ではないかと思うが、彼の本領発揮作は、実は在籍最終作である『HEROES ARE HARD TO FIND(クリスタルの謎)』の方だ。メンバーは歴代マックでも最小の4人だったが、その分ボブの露出が多く、全11曲中7曲がボブ作(残りはクリスティン・マクヴィー作)となった。超常現象好きのボブらしく、アコースティック・ギターを効果的に使った<Bermuda Triangle>なんて曲もある。そりゃー『RUMOUR(噂)』や『ファンタスティック・マック』に比べりゃ地味だけど、コレがなけりゃあ、あの大ブレイクもなかった。

そう、このアルバムでボブ・ウェルチは、低迷していたグループをブリティッシュ・ブルースから完全脱却させたのである。そして、“自分の役目は終わった”とばかりにマックを脱退し、斬新なハード・ロック・トリオ:パリス結成に向かった。残された3人は、デュオを組んで活動していたバッキンガム=ニックスを抱え込んで大ブレイクに突き進んでいくが、グループの舵を取ってアメリカン・ナイズされたポップ・ロック路線へと乗り換えさせたのが、グループ初の米国人メンバー、ボブだったのだ。

79年に行なわれたボブ唯一のジャパン・ツアー。カナザワが観に行った日は、プライヴェートで来日中だったジョン・マクヴィーが飛び入りでベースを弾いた。あの光景は今も忘れられないな。