wishbone_ash_tokyo
ツイン・リード・ギター編成のバンド・スタイルを確立した英ハード・ロック・バンドの至宝、ウィッシュボーン・アッシュ。彼らが78年11月に行なった3度目の日本公演はライヴ録音され、約4ヶ月後に日本だけで発売された。これはその日本初CD化。元々日本制作による日本独自盤だったはずだが、CD化は豪州が一番早く、3年以上遅れての日本発売となった。もちろんSHM-CD/紙ジャケ仕様は初めてになる。

78年というと、彼らは『NO SMOKE WITHOUT FIRE(因果律)』を出して、原点回帰を目指していた頃。ツイン・リードの一角が崩れてローリー・ワイズフィールド(元Home)が加入したのを期に、米国進出を進めた彼らは、哀愁味とインテリジェンスを感じさせる英国風サウンドを、カラッと乾いたカリフォルニア・テイストへと移行させた。そして生まれたのが、イーグルスでお馴染みのビル・シムジクと組んだ『THERE'S THE RUB(永遠の不安)』。これは個人的に『ARGUS(百眼の巨人アーガス)』と並ぶ名盤だと思っている。

しかし、次の『LOCKED IN(限りなき束縛)』がイケなかった。プロデュースは名人トム・ダウドだが、これは明らかにミスマッチ。ダウドのルーズでスワンピーな音作りと合わず、人気に大きな翳りが出た。そのあとは『NEW ENGLAND』、『FRONT PAGE NEWS』と一進一退を繰り返し、『因果律』に至る。

その『因果律』ツアーで録られた日本公演ライヴ盤は、<F.U.B.B.>と<The Way Of The World>というローリー加入後の大曲2曲をフィーチャー。そこに<Jail Bait>や<Blowin' Free>というオールド・ファンお馴染みの楽曲を加え、5曲入りのシングル・アルバムとして世に出た。名ライヴ盤『LIVE DATE』(73年)に比べると些か小振りで物足りないが、ローリー入りのバンド・プロポーションをダイレクトに捉えた好ライヴで、スリリング且つ華やかなツイン・リードが遺憾なく楽しめる。実際彼らも手応えを感じていたのか、この頃には次のワールド・ワイド展開のライヴ盤を考えていたらしく、次作『JUST TESTING』を挟んで再び2枚組『LIVE DATE vol.2』を発表。そこに前述の大曲2曲が収録されたため、この東京ライヴは影が薄くなっていった。

その後メンバー内に亀裂が生まれ、グループは変質と分裂を遂げていくことになるが、その予兆はこのジャケットにも。左上に映るマーティン・ターナー(b,vo)は、完全にパンク・ルックなのだよ…