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ショック! 日本では<ロンリー・ガイ』のヒットで知られるAOR系シンガー・ソングライターのレイ・ケネディが、この16日に急逝したことが分かった。享年67歳。

レイ・ケネディといえば、ちょうどボックスや紙ジャケ再発で盛り上がっているマイク・ブルームフィールドとKGBと組んだり、ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンと<Sail On Sailor>を共作したことで知られる。その後、ジョン・ウェイトがいたベイビーズなどへ楽曲提供。作曲パートナーであるジャック・コンラッドを通じてデヴィッド・フォスターと邂逅し、80年にフォスター制作によるAOR名盤『RAY KENNEDY(ロンリー・ガイ)』を完成させた。そこには<Sail On Sailor>やベイビーズに書いた<Isn't It Time>のセルフ・カヴァーも収録している。

ただし日本での一番人気は、CMソングにも使われてスマッシュ・ヒットした<You Oughta Know By Now(邦題:ロンリー・ガイ)>。でもこのヒットにより、八神純子<パープル・タウン>が盗作だったのではないか?と疑惑が出て、その後、レイとフォスター、コンラッドと彼女の共作として扱われるようになった。実際、レイのを先に愛聴していたカナザワは、八神純子の当時の新曲を初めて聴いてブッ飛び、“この才女も煮詰まっているんだな…”と思ったのを覚えている。

一方レイは、そのヒットもあってか、アルバム一枚で即・来日。カナザワもシッカリ観に行った。コーラス隊の一人は、かのトミー・ファンダバーク。ただあまりにリハーサル不足で、バンド経験者的には結構ハラハラしながら見た記憶が。レイ自身はなかなか歌える人なので、いつかリヴェンジを、と思っていたが、84年に突然マイケル・シェンカー・バンドのヴォーカルに抜擢されて再来日。体調不良だったと伝えられるものの、ココでも悪評を重ねる結果に終わった。

それでも作品は嘘をつかず。上掲作収録の名バラード<My Everlasthing Love>をアース・ウインド&ファイアーがカヴァーするなんて噂が流れるも(レイはモーリス・ホワイトのレーベルARC所属)、結局それは同じくフォスター制作のビル・チャンプリン<Tonight Tonight>になる。90年代に入っては、70年代初めに一時レイがサポートしていたデイヴ・メイスンの絡みか、フリートウッド・マック『TIME』に楽曲提供/プロデュースで参加したり…。その後もディスニー作品を始め、様々な映像作品に音楽を提供していたらしい。

ちょうど70年に発表した初のソロ・アルバム『RAYMOND LOUIS KENNEDY』も、韓国経由で紙ジャケ再発されたばかり。こちらはモチロンAORではなく、R&B色濃厚なスワンプ作品だけど、そのつもりで聴けばそこそこ楽しめる。バックにもカクタスやらモビー・グレイプ、キャンド・ヒートのメンバーやポール・ハンフリー(ds)、マックス・ベネット(ds)なんて名前があるし、若く粗っぽいヴォーカルが魅力的。少し抑えて歌うと、後々のブルー・アイド・ソウル・スタイルが顔を出す。シンガー・ソングライターとしては非凡だったから、彼にはきっと良いプロデューサーが必要だったんだな。

ソロ・アーティストとして華開くコトはなかったけれど、そのコク深い歌声は、今も忘れ難し。Rest in Peace...