brandx_live
「へへっ!ジャズ・ロックですよ」と、ブランドXの名盤『LIVE STOCK』を某所で紹介しているのは、かの冨田恵一(冨田ラボ)。かくいうカナザワも、ブラフォードとかこのブランドXみたいな、ジャズとフュージョンとプログレが綯い交ぜになったその周辺の音が好きだから、「久々にブランドX 聴きてぇ!」と思っていた。
そんなところに再登場したのが、79年作『PRODUCT』発表時の北米ツアーから、9月のL.A.公演でレコーディングされたこのライヴ盤『LIVE AT THE ROXY LA』。96年に一度リリースされたが、既に入手困難でプレミア価格で取引されており、この手のファンには嬉しいリイシューである。

このライヴの特徴は、9月23日の2nd Showを丸々収録していること。ラインナップはフィル・コリンズ(ds)、ロビン・ラムリー(kyd)、ジョン・グッドソール(g)、パーシー・ジョーンズ(b)、ピーター・ロビンソン(kyd/元クォーターマス)という、珍しいツイン・キーボードの5人編成である。フィルはジェネシスと掛け持ちで参加していたワケだから、『LIVE STOCK』のようにフィル・コリンズの参加公演と代役ケンウッド・デナードが叩いている曲が混在するのも仕方ないと思っていたが、この時はロキシー3daysを含む1週間ほどの短いツアーで、フィルもジェネシスのスケジュールの間隙を突いてブランドXとしてプレイしたそうだ。<Don't Make Waves>のようなヴォーカル曲は、まさにフィルのために用意された貴重なトラックだろう。

Kydでも特にシンセに才を発揮するピーター・ロビンソンがいるためか、前後のブランドX作品よりも全体的にプログレ色増量。ジェネシスではあまり聴けないフィルのジャズっぽいドラミング、“英国のジャコ”と異名を取るパーシー・ジョーンズのフレットレスでの妙技、そして緩急自在のグッドソールのギターと、聴きどころは少なくない。何せ収録曲はどれも10分超でインプロヴィゼーション満載。とりわけ1st『異常行為』からの<Nuclear Burn>の熱気溢れるプレイは、滅茶苦茶ヤヤこしくてカッコ良い。他の5曲は、2nd『MOROCCAN ROLL』からの2曲と、最新作『PRODUCT』から3曲という構成になる。

『LIVE STOCK』のようなカリスマ・レーベルからの公式ライヴに比べれば、発掘音源である本作は音質がイマイチだし、編集や作りも少々粗い。しかしコメントを寄せているロビン・ラムリーが「ブランドXのピークを捉えている」と書いているように、演奏もメンツも美味しく、フィルにとってはブランドXでの最後のプレイとなった。それだけこのライヴは貴重な記録。興味ある方は、また入手困難になってしまう前に必ずゲッ〜ト!