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昨夜、ストーンズの日本最終公演が終わった。「これで来日は最後かも…」という切迫感のうえ、東京のみでたった3日間だったからか、東京ドームはどの日もパンパンに膨らんでいたらしい。でもエネルギッシュに歌っていたミックでさえ衰えは感じられたし、キースは体調不良の日もあったとか。アル中から脱却したロニー・ウッドが溌剌としていたのは当然としても、むしろ喉頭癌上がりのチャーリー・ワッツの方が元気に見えた。

しかしこの最終日の一番の話題は、ファン・リクエストの<Respectable>にゲスト参加した布袋寅泰だ。その瞬間からTwitterが炎上したというから、かなりネガティヴな意見が多かったようである。ちょうどエリック・クラプトンの来日時期と被っていたから、クラプトンのゲストを待望視していたファンが少なくなかったようだし、実際ロンドンではクラプトンやジェフ・ベックが客演して喝采を浴びたらしいから、結局はストーンズ・ファンが持つ布袋のイメージが良くなかった、というコトだろう。でも、ブーイングを浴びせたストーンズ・ファンのどれだけが、布袋の活動を理解しているというのか。

イヤね、気持ちはよ〜く分かるのよ。多分数年前だったら、自分もゴチャゴチャ御託を並べて否定していただろう。でもストーンズ・サイド、特にミックにしてみれば、これは歴としたファン・サーヴィスであるはずだし、ストーンズを聴いて育った世代のアーティストなら、彼らから「共演しないか?」と誘われて断れるハズもない。所詮は、It's Only Rock'n Roll。彼らはファンを楽しませようとして仕掛けているのだ。

一部には「鮎川誠の方が…」なんて意見もあったらしいが、音楽的にはともかく、それではサスガに格が違いすぎる。まがりなりにも布袋はデヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックと共演してきているし、ブライアン・セッツァーとバンドを組む話もあった。Complex再結成では、同じドーム公演を成功させてもいる。彼が担当した『KILL BILL』メイン・テーマ曲は、英国のiTunes Store音楽部門で1位を獲得し、欧州サッカー連盟の入場テーマにも使用された。ロンドンでは曲が有名になっても布袋自身の名はあまり広まっていないらしいが、ビジネス・センスのあるミックなら、その辺りもシッカリ把握して見せ方を考えているはずである。むしろ、BOOWYのイメージしかない持っていないような日本のストーンズ・ファンの方が布袋を知らず、それ故短絡的に否定しているのではないか。

かくいう自分も、今井美樹は聴いてても、布袋のソロはロクに聴いていない。それでも彼のソロ活動をバックアップしてしたのが、パブ・ロック系ファンク・バンド:ゴンザレスのメンバーだったクマ原田やレニー・ザカテクだったのは知っているし、そのクマ原田がミック・テイラーと懇意にしていたのも分かっている。今回のゲスト参加は、ストーンズのスタッフが去年の布袋のロンドン・ライヴを見ていたのが直接のキッカケらしいが、なるほどミック・テイラーやミュージシャン交流の広いロニーあたりは布袋と面識があっても不思議じゃないのだ。確かにストーンズには意外性の高い人選だし、そもそもゲストが必要なのか?という論議はある。でももし日本人ゲストを立てるなら、ましてドームで彼らとマトモに張り合えるロック・ミュージシャンを探すとなれば、彼の他にはそういない。

ストーンズに限らず保守的な音楽ファンの多くは、まず何事も否定から入る。でもチョッと考えたり、周辺情報を知れば、「なるほど」と納得できることが少なくないはず。何より反体制のシンボルだったロックのファンが、歳と共に更にコンサヴァになって石頭化していくのが悲しい。きっとメンバーも笑っているよ、It's Only Rock'n Roll、楽しんだ方が勝ちさ!って。

それにしても、最終日のオープニングは<Jumpin' Jack Flash>だったとか。そしてこの『14 ON FIRE』ジャパン・ツアーでは、この『SOME GIRLS』から<Miss You >と件の<Respectable>、そしてキースが歌う<Before They Make Me Run>の3曲をプレイしたことになる。『BLACK AND BLUE』の重厚さにヤラレていた当時のカナザワは、急にパンキッシュになったこのアルバムには結構戸惑ったものだ。