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プリンスのニュー・パワー・ジェネレーションにギタリスト/ヴォーカリストとして参加して広く注目を集め、“プリンスの寵愛を受けた”とも噂されるカメルーン出身のアンディ・アロー。昨日は横浜Motion Blueで初来日公演し、今日・明日でBlueNote Tokyo。その1日目2nd SHowを覗いてみた。

カーリーがかったアフロ・ヘアのせいか少し大きく見えるアンディだけれど、真紅のローブをまとってステージに上がった彼女は意外に小柄。そして何より小顔で、ちょっとはにかんだような笑顔がSoooo Cute これでデニース・ウィリアムス張りの “天使の歌声” を持つのだから、世の女性なら誰もが羨みそうだ。ヴォーカル・スキルそのもので聴かせる人ではないけれど、ちょっと繊細で知的なところはネオ・ソウルっぽい。

バックはゴリゴリと弾く巨漢のベース、マルコムXを髣髴させるインテリ風キーボード奏者に、フレキシブルなビートを繰り出すゲイっぽいドラマー。ここにアンディが入ってバリバリ ギターを弾くのかと思ったら、3曲目までギターを持たず、スタンド・マイクで歌う。4曲目になってやっと!と思ったら、実は手にしたのはアコギで…。結局エレキを持ったのは僅か数曲で、しかもほとんどリズムのみ。メイン楽器はアコギを通した。プリンス・ファミリーというバイアスのためか、もっとファンクっぽい音を予想していたのだが、実際はフォーキー・ソウルといった趣きで、むしろコリーヌ・ベイリー・レイを少しマニアックにした印象。初公演に駆けつけたオーディエンスも最初は少しはぐらかされた感じで、反応はやや大人しめだった。そういえば、ローリン・ヒルにも近いかな?

2枚のソロ・アルバムからのチョイスは割と少なく、それも超シンプルな3or4ピース用にアレンジされている。ファンク曲もメラメラと内省的に畳み込んでいく感じ。だからオーディエンスに歌わせる場面が多いのに、今イチ、オーディエンスがレスポンスが鈍い。アンディの控え目な誘い方も原因だろうが、しつこく煽り立てないところが逆に個性とも言えそう。 まぁ、これからのライヴ活動で経験を積み上げていかねばならない部分ではあるだろう。それを補う意味もあってか、カヴァー曲は多め。アフリカ系だからかレゲエのグルーヴを積極的に盛り込み、ボブ・マーリー<Waiting In Vain>をリメイクした。その一方で、ブルース・スプリングスティーン<Dancing In The Dark>やドゥービー・ブラザーズ<Long Train Running>といった意外な曲も。それを素直に受けて立ち上がったオーディエンスも多かったが、コレは彼女の幅広いルーツの一端ということだろう。若干の「?」はあったけど、アンディ本人は楽しんでいるようで、アァ…とっても かわゆす ただ1stではマーヴィン・ゲイ<Let’s Get It On>を演ってたそうなので、個人的にはそれを聴いてみたかったな。

アルバムとイメージが違ったせいか、全般的にスロウ・スタートではあった。それでも本編ラストのミディアム・ファンク<People Pleaser>では、オーディエンスほぼ総立ち。彼女も気分良く客席に下り、ステップを踏みながら歌い飛ばした。そしてアンコールは、当然<Superconductor>が来る!と思いきや、アコギの弾き語りで新曲<One Step Closer>を。なるほど、キュートなルックスや一歩引いたようなアティチュードとは裏腹に、アンディって実は一本芯の通った、自己主張のあるシンガー・ソングライター・タイプのミュージシャンなのだな。

プリンスのバックアップは良いけれど、あまり手を加えず、そのまま素直にまっすぐ育っていって欲しいアンディ嬢です

[setlist]
1. Story Of You & I
2. Sometimes
3. When Stars Collide
4. Conclusions
5. Waiting In Vain  ※Bob Marley
6. Yellow Gold
7.  If I Was King
8. Dancing In The Dark  ※Bruce Springsteen
9. I Want Love
10. Long Train Running  ※ The Doobie Brothers
11. Hooked
12. People Pleaser
--- Encour ---
13. One Step Closer