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ショック “100万ドルの天才ギタリスト”と謳われたジョニー・ウィンターが、16日、ヨーロッパ・ツアーで訪れていたスイスのチューリッヒで急死した。享年70歳。僅か3ヶ月前のジャパン・ツアーで元気な姿を見せてくれただけに、何とも複雑な思いが駆け巡っている。

振り返れば、ジョニー・ウィンター・アンドのライヴ盤などは、高校生の頃に耳にしていた。そのエネルギッシュなギター・プレイにかなり驚いたが、ブルージーではあっても、日本人好みの哀愁感には乏しく、いかにもテキサス出身らしいドライで武骨なフレージングが持ち味だった。

元々アルビノで、目や足にも障害のあったジョニー。近年は持病もあってあまり体調がすぐれず、それ故に未だ来日が実現しないと言われていた。ようやく2011年に初来日してファンを喜ばせたが、この時は決して本調子ではなかったようだ。しかしその後は精気を取り戻し、先の来日が3度目の日本。「またすぐに戻って来たい」と言うほど、日本が大好きになっていた。でももうそれが叶わない…

この9月には『STEP BACK』というニュー・アルバムの発売が控えている。中身はブルースのカヴァー集で、ゲストにエリック・クラプトンやブルース・ブラザーズ、エアロスミスのジョー・ペリー、Z.Z.トップのビリー・ギボンズ、そして何とマウンテンのレスリー・ウェストまで。その作りは、デレク・トラックスやウォーレン・ヘインズ、ソニー・ランドレスらを迎えた11年作『ROUTES』の延長にあり、邦題もそのまんま『ルーツ2』と名付けられている。この急逝で、そこに“追悼盤”という文言が加わるだろう。

偉大なるブルース・ロック・ギタリストは、作品だけでなく、自らが己のルーツへと帰っていった。Rest In Peace…