boz
本日紙ジャケットでリリースされた、ボズ・スキャッグス 幻のデビュー作。ボズの処女作というと、69年にアトランティックへ吹き込んだデュエイン・オールマンとの共演作『BOZ SCAGGS(ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン)』がそれ、と思われている節があるが、それはあくまで米国での話。ボズの本当の第1作は、スティーヴ・ミラー・バンド加入前のヨーロッパ放浪中、65年にスウェーデンで録ったこのアルバムなのだ。

最近は “レア盤” と言われても耳タコ状態で、初CD化の有り難みも薄れている。それはいわゆる “レア盤” の多くが、レア・グルーヴ/フリーソウル・ムーヴメント以降に発掘された、無名アーティストの作品だからだ。売れてないアーティストだからプレス枚数が少ないのは当然で、そこに突然世界中のDJが殺到するから高くなる。

でもこのボズの1stは、ボズが売れた70年代後半の時点で既にレア盤。80年代からもう6桁に乗るくらいの稀少作なのだ。なにせ発売が欧州ポリドール傘下のカルーセルという無名レーベルで、最初から300枚しか作られなかったらしい。今まで2〜3回CDが出て紙ジャケ盤も出回ったが、聞くところによれば今回が初めてオフィシャル・リイシューだそうで、今までのはすべてブートレグ、ということらしい。

音の方は、ジャケのボズで推して知るべし。長髪姿で路上に立ち、アコギを掻き鳴らしながら弾き語りで歌う、というもの。首に掛けたハーモニカが、如何にもフォークっぽい。実際ボズはこのアルバムを “フォーク・ブルース” と表現。今風に言えば、アシッド・フォークと言えるだろうか。

収録曲にはボブ・ディランのカヴァーの他、オールマンで有名な<Stormy Monday>、スティーヴ・ミラー・バンドでも再演する<Gangster Of Love>、R&Bスタンダードの<Let The Good Times Roll>など。AORでないのは言うまでもないが、米国デビュー盤のようなブルース・アルバムでもない。それでも押さえておきたい、という方に。