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ピンク・フロイド20年ぶりのニュー・アルバム登場と言うコトで、世界的に盛り上がっている『THE ENDLESS RIVER(永遠-TOWA-)』。イギリス、ドイツ、フランス、カナダなど16カ国のアルバム・チャートで初登場1位を獲得し、米国では2位。現時点では20カ国で初登場トップ5入りを果たしたそうだ。日本でもオリコン・デイリー洋楽アルバム初登場2位を記録し、21カ国目のTOP5入りが期待される、と、やたらに盛り上がっている。う〜ん、さすがピンク・フロイド。

カナザワも、仕事の山からの現実逃避モードで早速聴いてみた。ゲットしたのはCD+Blu RayのDeluxe BD Versionで、いきなり5.1サラウンドでの対峙である。

まず驚いたのは、まるで映画館にいるような臨場感。コレ聴いちゃったら、もう普通のステレオでは聴けない!ってくらいの迫力だ。最近のサラウンド・ミックスはかなり大胆に音を振り分けるようになったけれど、過去の音源のリミックスとは根本的に音の組み立て方が違っている。<Shine You Crazy Diamonds>を髣髴させる長〜いイントロを聴きながら、楽曲以前に、その圧倒的な音像に打ちのめされてしまった。

では内容は…?  ひと言でいえば、隅から隅までとことんピンク・フロイド。それ以上でもそれ以下でもない気がする。既報のように、この『永遠(TOWA)』は、リチャード・ライト(kyd)生前最後のアルバムで、元々2枚組として発表する計画もあったという『THE DEVISION BELL(対)』の残りトラックを素材にした作品だ。だから冷静に考えれば、あれ以上にはなり得ない。しかもその2枚組計画は、歌モノ1枚とアンビエントなインスト物1枚という構成だったそうだから、そこから練り上げたこの新作も、ラストの<LouderThan Words>以外は完全にインストメンタルになっている。『炎』や『アニマルズ』好きの自分としては、デヴィッド・ギルモアのギターが活躍しているのは嬉しい。けれど、大効果音大会になっているような部分もあり、個人的印象としては、『OBSCURED BY CLOUDS(雲の影)』に近い。実際『対』の頃には、その残りテープでサウンドトラックを作ろうとしていた、という話もあるそうだ。

ゆえに、過剰な期待は禁物。フロイドとしてのラスト・アルバムになるのは事実だろうが、大々的な宣伝に気を逸らせると、“アレッ!?”ってなコトになりかねない。少なくても、これからピンク・フロイドを聴こうというリスナーに勧められるシロモノではなく、『狂気』や『炎』はもちろん、『鬱』や『対』をちゃんと通って来た方が聴くべきアルバムである。『ファイナル・カット』がロジャー・ウォーターズにとってのフロイド終焉なら、これはギルモアにとっての “ケジメの作” 。そういう意味では、フロイド2度目の最終作であり、『対』と対であると同時に、『ファイナル・カット』とも対になり得るアルバムなのだ。

しっかし、あのワンパターンのリズム・センスは、とうとう最後まで変わらなかったな…