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ポール・ジャクソン、といっても売れっ子セッション・ギタリスト “ポール・ジャクソン Jr.” ではなく、元ヘッドハンターズの黒人ベース・プレイヤーの方。そのポール・ジャクソンが自身のトリオを率いて、久しぶりのリーダー・アルバムを発表した。

“グルーヴ・マスター”として知られる彼は、ハービー・ハンコックの歴史的名盤『HEADHUNTERS』の屋台骨を支えたレジェンダリーな存在だが、その当時の名声に対して、その後の活動はどうももうひとつパッとしなかった。それは日本人女性と結婚し、日本に居を構えているから。聞けばもう30年も日本に住んでいるそうで、結果としてU.S.のセッション・シーンから距離を置くことになった。

その分 ミッキー吉野の周辺ミュージシャンとは懇意にしているようで、“Jazz for Kids”と銘打ったチャリティ・プロジェクトで全国の小中学校や高校を訪れ、地に足をつけた音楽活動を展開。個人的には、レイ・パーカーJr.が02年に発表した日本のミュージシャンとの共演ライヴ盤『RAY PARKER Jr. with THE STATE OF THE RHYTHM』で、ミッキー吉野、村上ポンタ秀一、本田雅人、斎藤ノブとプレイしていたのが印象に残っている。当時は、“何故ココにポール・ジャクソンが?”と思ったが、その時既に15年以上も日本に住んでいたのだ。

初リーダー作『BLACK OCTOPUS』(79年)以降、断続的にソロ作やプロジェクト作を出しているポールだが、作品数自体はあまり多くない。代表的ワークスとなると、やはりハービーの70年代作品群周辺作やヘッドハンターズのバンド・アルバム2作が挙がってくる。笠井紀美子withハービー・ハンコックの人気作『BUTTERFLY』(79年)もそのひとつ。98年に再編されたヘッドハンターズも、断続的に活動している。

『GROOVE OR DIE』という大胆なタイトルが付けられた今作は、ソロでは9年ぶりのアルバム。とはいえ前作『FUNK ON A STICK』は日本未発だったようで、自分もまったく存在を知らなかった。むしろ記憶にあったのは、92年にEnjaから出ていた、ヘッドハンターズの盟友マイク・クラーク(ds)との共演作『THE FUNK STOP HERE』。サックスにケニー・ギャレットを迎えた強力ジャズ・ファンク・アルバムで、思わずヘッドハンターズと聴き比べたのを思い出す。

それに対して英仏の若手ミュージシャンとのトリオで臨んだ本作は、もう少しメリハリが強いか。ポールのファンク・ベースが躍動する曲もあれば、少しジャズ寄りの展開もアリ。例によってポールの渋いヴォーカルをフィーチャーした楽曲もあるし、若手が歌う曲も入っている。全体的にトリオを意識した作りで、メンバー3人のバランス感が心地良いのだ。ポールの「このバンドには私が求めていたもののすべてがある」というセリフは些か誇張気味だけれど、「ハービーとヘットハンターズで演奏していた頃と同じ感覚を味わった」という言葉にウソはないだろう。できることなら、自分もそれをライヴで共有したいものである。