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日本きってのファースト・コール・ギタリストの一人、土方隆行が、マライア・プロジェクトに参加していた頃にリリースしたリーダー・アルバム群。
その2枚がタワーレコード限定で再発された。2ndの『ATOMIC ROOSTER』は、オンデマンドCD(-R)で出回っていただけで、本来の意味では、ようやくの初CD化となる。

幅広くセッション・ワークをこなす土方さんだけれど、イメージとしてはシャープでエフェクティヴなプレイを得意とするイメージ。吉田美奈子のグループでも、ファンクなグルーヴに溶け込むんじゃなく、ザクザクッとグルーヴを刻んでいく感覚がある。ロックなアドリブ・ソロは、半ば異分子として他のメンバーに抗うような面白さ。それが現在では美奈子グループ一番の古株になった…。

このリーダー作2枚に関しては、共にマライア絡みのプロジェクト作品でもあり、プログレッシヴ要素の持ったハード・フュージョンと言えるだろう。1stソロ『SMASH THE GLASS』(80年)では、ショッキングなオープニングが語り草。このアルバム・タイトル曲<Smash The Glass>のカッコ良さは筆舌に尽くし難く、まさにアース・ウインド&ファイアーも裸足で逃げ出しそうな超絶ファンク・チューンである。カナザワにとっては、日本のフュージョン楽曲で、初めて聴いた時に最も衝撃を受けた曲かも。村田有美のパワフルなヴォーカルも印象的だ。他にも<Let Your Love Grow>や<Dance This Night Away>などポップ・ダンス・チューンが入ってたりして、土方の音楽性を広範に分かりやすく網羅した内容になっている。“マライアはよく分からん” という人にこそ、真っ先に聴いて欲しいアルバムだ。

2nd『ATOMIC ROOSTER』は、前衛と先鋭、実験と遊び心が混ざり合った、より “マライア” した作品。東欧風味のデカダンな雰囲気を漂わせつつ、エッジィなロック・フュージョン・アルバムに仕上げている。ファンク色が薄まった反面、テクノ以後というか、ニュー・ウェイヴっぽい味付けがしてあるのも特徴。軽く聴くとギター色が薄らいだ感があるが、それはマライア・サウンドの一部として機能しているからで、注意深く聴くと違った面が浮かび上がる。ギターは単にあまり表へ出て来なくなっただけで、緻密に構築されたアレンジの中で重要性が高まっていたのだ。

どちらのアルバムも、マライア勢 ---- 清水靖章(sax)、笹路正徳(kyd)、山木秀夫(ds)、渡辺モリオ(b)、村川ジミー聡(vo)---- は全員参加。1stには、そのファミリーである織田哲郎(vo)の名も見つかる。とにかく<Smash The Glass>だけでも聴いてみて!

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