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ジミー・ペイジによるレッド・ツェッペリンの最新リマスター・シリーズが、ようやく75年の傑作『PHYSICAL GRAFFITI』まで進んだ。Zeppファンの間では、どのアルバムをフェイヴァリットに挙げるかによってその人の音楽的嗜好が分かる、なんて言われるが、カナザワの一番はコレ。それに次いで『HOUSE OF THE HOLLY』、…ってチョッと変かな? 楽曲単位で行くと<Achilles Last Stand>なので、昔は一時 “『PRESENCE』が一番好き” と言ってたんだけど、やっぱり『PHYSICAL GRAFFITI』はこのヴォリューム感が圧巻で。

それに加えて、自分が初めて聴いたZeppのアルバムが『PHYSICAL GRAFFITI』だった、というコトが大きいかも。洋楽との出会いが中2の時のビートルズ。その半年後くらいから本格的にロックに目覚め…という流れで、ちょうどコレが新作として音専誌を賑わせていたタイミングだった。確かそれ以前は、ラジオで聴いた<Stairway To Heaven>や<Whoe Lotta Love>、<Immigrant Song>程度しか知らなかったはず。当時の中学生が2枚組LPを買うというコトは、それこそ “清水の舞台から飛び降りる” ような進境だったと思うが、実際手にしたそれは、すぐには魅力が分からなかった。1stや2nd、あるいはフォー・シンボルズあたりから入ればそんなコトもなかっただろう。でもZeppのコレは、パープルやバッド・カンパニーに比べて難しかった。とりわけロバート・プラントの硬質な歌声は、中坊の餓鬼には取っ付きにくかったのである。でもそれがだんだん馴染んでくると、逆に他のハード・ロック・バンドが陳腐に思えてきて…。自身のレーベルSwan Songを立ち上げるなど、何処かインテリジェンスを感じさせるのもZeppの特徴だった。

さすがに『HOUSE OF THE HOLY』が面白く聴けるようになったのは、結構後になってのこと。けれど『PHYSICAL GRAFFITTI』は実は新曲ばかりではなく、『III』以降に録られたボツ曲も多く含まれていると知って合点が行った。要するに、それまでの各作品からハミ出てしまった楽曲をすべて呑み込んでしまう包括的創造力が働いていたコトになる。だからそのイマジネーションの大きさに接してしまうと、どうしたって初期作品では物足りなくなる。彼らの創造力の根源は何処にあったのか? 真面目に聴こうとすると、そういう聴き方・接し方になってしまうのだ。

…というワケで、今日も爆音でZepp三昧。いろいろ詮索したり考えさせられる楽曲の多いアルバムだけど、それはレココレ誌など音専誌の特集に任せよう。今シリーズの目玉である未発表トラック満載のコンパニオン・ディスク(Standard Editionには未収)も、まだ聴けていない。それにしてもこのところ、書き手を刺激するタマがやたら多くて困るなぁ〜。お陰でなかなか仕事が進まないじゃないかッ