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ゴングのデヴィッド・アレンが13日、故郷のオーストラリアでこの世を去った。享年77歳。彼は先月、癌が再発して余命6ヶ月と診断されたと明かしたばかりだったが、それよりもずっと早くお迎えが来てしまったことになる。

アレンはビートニクとして世界を放浪し、ヨーロッパはパリでウィリアム・バロウズに出逢った後、60年末に英国へ渡ってきた。居着いたのは、中世からの巡礼地であるカンタベリー。そこで知り合ったロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、マイク・ラトリッジらと66年に結成したのが、かのソフト・マシーンである。もしアレンがいなかったら、後のカンタベリー・ミュージック、いわゆる英国産ジャズ・ロック・シーンは、まったく違ったモノになっていたかも知れない。

しかしアレンは、ソフト・マシーンのライヴでフランスに渡った際、ヴィザの不備で英国に戻れなくなってしまう。そこで彼は恋人ジリ・スマイスと共に、ゴングを結成。最初は実態に乏しいプロジェクトのような存在だったが、71年頃から活動を本格化させ、英国からのミュージシャンを呼び寄せるようになった。こうして生まれたのが “ラジオ・ノーム・インヴィジブル”の3部作、『FLYING TEAPOT』(73年)、『ANGEL'S EGG』(73年)、『YOU』(74年)。この最終作には、スティーヴ・ヒレッジ(g)や後にプロデューサーとして成功するマイク・ハウレット(b)、ゴングを引き継いでフュージョン路線へ導くピエール・ムーラン(ds)らが在籍した。

こうして全盛期を築いたゴングをあっさり離れ、スペインでジリ・スマイスと隠遁生活を送る中で作ったソロ作品が、前作『GOOD MORNING』(76年)とこの『NOW IS THE HAPPIEST TIME OF YOUR LIFE(ハピエスト・タイム)』(77年)である。その作風は、サイケデリックでコズミックなトリップ感覚を持っていたゴングから一転、ゆる〜くてほのぼのとしたアコースティック・サウンド。おおよそ緊張感のない音だが、当時のカナザワはまだハード・ロックやプログレを聴いていた頃だから、こういうプライベートな音が新鮮だったのかも知れない。言わばポール・マッカートニーの『McCARTNEY』みたいな感じ。それでもスパニッシュ・ギターが活躍したり、タブラが鳴っていたり、ポエトリー・リーディングなどがあるのは、如何にもヒッピー上がりのアレンらしいところだ。

結局アレンはこの後ロンドンへ移り、ヴァージンが勝手に出したゴングのライヴ盤に対抗して本格的な活動を再開していく。今にしてみれば、この時期が彼にとって本当の “HAPPIEST TIME” だったのだろう。

Rest in Peace…