paul2015
ポール・マッカートニーの復活・再来日公演 “OUT THERE JAPAN TOUR 2015”@東京ドーム3days初日、を観た。今回のジャパン・ツアーとしては、一昨日の京セラドーム大阪に続く2公演目。当日券は出ていたが、あの東京ドームがほとんどパンパンの満員御礼。さすがポールだ でも前回のドタキャンがあったから、期待感が一層増している面はあるだろう。30分近い映像が流れている間も、待ち切れなくなった1階席で2度3度とウェーヴが発生。一塁側ファウルポール近くからキレイにドームを一周していく珍しい光景に、どよめきと拍手が起こったりして…。そんなファンの熱気が最高潮に達した時、スクリーンにあのヘフナーのヴァイオリン・ベースが映し出され、2時間半超のステージの幕が切って落とされた。
(※以下ネタバレあり)

大阪同様、<Magical Mystery Tour>からのロック・チューン連発で始まったステージ。とにかくポールは前回の急病がウソのように元気溌剌で、とても御年72歳とは思えない。ギターやベースを取っ替え引っ替え、ヒナ団の上のピアノに移動したりと片時もジッとせず、曲が終わるごとに大袈裟なジェスチャーでオーディエンスを煽る。カンペを見ながらのカタコト日本語MCも楽しく、今回は「チョースバラシイ(超 素晴らしい)」を連発。そのすべてがポールらしい。相変わらず水をまったく口にしないが、やっぱり駆け出し時代のハードな巡業で、相当喉を鍛えられたんだろうな。

とにかく、あのポールが目の前でお馴染みの曲たちを歌いまくっている、もちろん演奏も完璧、それだけで、ビートルズによって洋楽に開眼したカナザワは喜びイッパイ アレンジを変えずレコードのままを再現する、というポールの方針も、ファン想いの彼らしいところだ。

でも来日の度に一度はショウに足を運んでいるカナザワとしては、この似たり寄ったりのセットはもう充分、という気持ちもあって…。一昨年の来日も同じ“OUT THEREツアー” だから、基本的なプレイリストが変わらないのは当然なのだが(前回レポート&セットリスト)、他にもっとナマで聴きたい曲は山ほどある。特にウイングス時代は『BAND ON THE RUN』以外のアルバムからは、ほとんど演らず。それこそ、“Paul plays WINGS”と銘打って、ウイングスとその前後のソロ作に特化したツアーでも組んでくれないかな?と思うほどだ。<Rock Show>や<Silly Love Song>をライヴで聴きたいファンは多いと思うし、カナザワ的には<Junior's Farrm>と<Beware My Love>、それに『RAM』や『WILD LIFE』(粗製ながらも好きな曲が多かったりして…)の曲をナマで聴いてみたい。

おそらくポールとしては、初めてコンサートへやってくるファンへのサービスとして、ビートルズ・ソングを多く選んでいるのだろう。ジョンやジョージが早世して、他に演れる者がいない、というコトもあるはずだ。それでも主要曲は、ポールが果敢にライヴ・ツアーを始めた『GET BACKツアー』から変わっていないのだから、そろそろスペシャル編成のツアーがあってもイイのではないか? 自分に限って言えば、今までに見たポールのライヴでは、やはり最初の『GET BACK ツアー』が一番印象に残っている。今ツアーの充実を以てしても、あの時の感動を越えることはできないのだ。

ま、相手がポールともなれば、百人百様の意見があって当然。それでもコアなファンには、“WINGSがもっと聴きたい” という方が少なくないと確信している。

 《Set List》
1. Magical Mystery Tour
2. Save Us
3. Can’t Buy Me Love
4. Jet
5. Let Me Roll It
6. Paperback Writer
7. My Valentine
8. 1985
9. The Long and Winding Road
10. Maybe I’m Amazed
11. I’ve Just Seen a Face
12. We Can Work It Out
13. Another Day
14. Hope For The Future(新曲)
15. And I Love Her
16. Blackbird
17. Here Today
18. New
19. Queenie Eye
20. Lady Madonna
21. All Together Now
22. Lovely Rita
23. Eleanor Rigby
24. Being for the Benefit of Mr. Kite!
25. Something
26. Ob-La-Di, Ob-La-Da
27. Band on the Run
28. Back in the U.S.S.R.
29. Let It Be
30. Live and Let Die
31. Hey Jude
-- Encoue ---
32. Day Tripper
33. Hi Hi Hi
34. I Saw Her Standing There
-- Double Encour --
35. Yesterday
36. Helter Skelter
37. Golden Slumbers〜Carry That Weight 〜The End



※レココレ増刊号に寄稿しています(以前の記事の再収録)