will downing_015
かなり書き物でテンパっているゴールデン・ウィーク、原稿書きに向けて調べモノをしながら、耳では別のモノを聴く。取り出したのは、このところ安定感抜群のアルバムをコンスタントに出し続けているウィル・ダウニング最新作。スムーズ・ジャズに向かったアーバン・ソウル・シンガーは少なくないが、今ではこの人こそがトップ・ランナーと言っていいだろう。

何せヴォーカル・スタイルが、完全にルーサー・ヴァンドロス。元々はもっとザラついた声でジャズぽいテイストを醸し出していた人だが、ルーサーの死をキッカケにポスト・ルーサーに名乗りを上げた。当時はその実力を認めつつも、“アンタはちょっと路線が違うんじゃない?”と思っていたが、声がどんどん滑らかになって、いつしかポスト・ルーサー最右翼に躍り出てしまった。

このニュー・アルバムも、まさにルーサー張りのヴェルヴェット・ヴォイスで艶っぽく迫りくる。特に今回は曲が粒よりで、本当に甘〜くトロケるよう。これで『CHOCOLATE DROPS』とは、よくいったモンだ。しかもアトランティック・スターの<Let's Get Closer>、ホイットニーの名曲<Saving All My Love For You>、シュープリームス<Does Your Momma Know Abou Me>と、選曲のセンスもチョッとルーサーっぽい。

本当のルーサーなら、これでノリの良いモダン・ダンサーやキレのあるアーバン・ミディアムを混ぜてくることころだけど、そこはスムーズ・ジャズに縛られてしまう昨今。あとはそこを戦略的に乗り越えて来たら、この人も完璧だな。

そうそう、奥方のオードリー・ウィーラーも、もちろん後ろで歌っています。