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昨年 大きく盛り上がった “和モノ Light Mellow” の夏が今年も。レーベル・コンピレーションのリリースは7月から開始されるが、まずはそれに先駆けて 【Light Mellow 和モノ 45】が6月末にスタートする。これは、最近どんどん盛り上がって来ているアナログ盤でシングルを再発する新シリーズ。しかも当時発売されていた7インチ盤を甦らせるだけでなく、人知れずアルバム中に潜んでいるナイスなアーバン・チューンを今の感性で抽出し、新たにシングル盤として提示する、そんなトライアルを含んでいる。その評価軸は、フロア・ユース、DJ人気の高さに止まらず、楽曲の音楽的クオリティやシーンでのポジションなどを加味したLight Mellow基準。第1回発売は、昨今の廃盤市場やオークションを高値で賑わせている4枚を慎重にチョイスし、シリーズ・スタートに相応しいラインナップが揃った。
シリーズ番号#1の東北新幹線(Narumin & Etsu)は、山下達郎バンドのギタリストとして名を上げた鳴海寛と、ニューミュージックやアイドル物などのアレンジャー/kyd奏者/コーラスで大活躍する山川恵津子のユニット。当時は八神純子や谷山浩子のサポートで頭角を現してきた頃で、そのワン&オンリー作『THRU TRAFFIC』(82年)は07年の初CD化で大きな話題になり、現在もジワジワ売れ続けている。昨年復刻されたLPもほとんど店頭に並ばず、予約だけで(ほぼ)売り切れたそうだ。それゆえ手に入れ損なった方に、当時試聴用に制作されたレアなシングル盤を、そのままのカップリングで再現。天才と言われた鳴海がナイーヴな声で歌う<Summer Touches You>、山川が透明感溢れるヴォーカルを披露する<Up And Down>と、アダルト・リスナーを直撃する名曲がA/B面に揃っている。ただし大人の事情で、アートワークだけは新たに作り直し。当時のオフィシャル・ショットを元に、アルバム・ジャケのテイスト甦らせた

シリーズ番号#2は、今年2月に急逝した実力派シンガー:小島恵理のレア・シングルを追悼リイシュー。彼女はヤマハのポプコン出身で、最近では角松敏生や杏里のバック・コーラスでお馴染み。ソロ・シンガーとしては大成しなかったが、有名シンガーのヴォイス・トレーナーとして活躍しする傍ら、自らヴォーカル・スクールを主宰して後進の指導に当たっていた。ガイド本『Light Mellow 和モノ・スペシャル』にもピックアップしたこのシングルは、A・B面とも彼女自身のペン。とりわけB面<Lonely Feelin’>が醸し出す摩天楼系メロウ・グルーヴは、いま最も愛される80'sスタイルを持っている。改めて Rest in Peace。

#3は“クールス” ことクールス・ロカビリー・クラブのアルバム未収シングルで、山下達郎プロデュースによるニューヨーク録音曲。キャロルの後継と目された彼らだが、達郎氏や近田春男はリーダー/ギタリストのジェームス藤木の才能を高く買っていたことで知られる。この曲も、洗練されたノーザン・ソウル・マナーにアカペラやドゥワップ調のヴォーカル・ハーモニーを絡めた、極上のアーバン・ディスコ・チューン。ロックン・ロールとシティ・ソウル、達郎氏の職人技、そのすべてが有機的に融合しあったミラクルな一曲である。

そして第1回リリースのシメとなる#4は、いまオークション市場でも最も高値を呼ぶシティ・ポップスの7インチのひとつ、堀江マミのデビュー・シングル。A面<Loving You>は山下達郎の提供曲で、氏の関連市販アイテムで一番レアと言われている。昨年のコンピ『LIght Mellow Avenue』への収録がキッカケで、懸案の権利問題をクリア。それがあってのシングル復刻だ。対してB面<Camouflage>は呉田軽穂こと松任谷由実の作品という、今は到底あり得ない超豪華なカップリング。堀江はジャズに魅せられてピアノを始めた人で、今もジャズ・シンガーとして活動を続けている。そんな彼女の持ち味を大切に、プリズムのベース奏者:渡辺建がアレンジを担当。バックもプリズムが務めている。詳しいクレジットはないが、この時期のドラムはおそらく青山純(ds)だろう。

いずれも完全限定プレスなので、買い逃しは後悔のもと。発売元はディスクユニオンさんだが、他のリテイラーにも流通するそうだ。まだまだ何かと難関が多いアナログ復刻市場だけれど、既に第2弾、第3弾を仕込んでいるので、続編をお楽しみに。

ディスクユニオン Light Mellow 和モノ45 特設ページ