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ブログを更新できずにいた間に、カナザワ監修による松原みきの初CD化2作、5枚目『彩』と6作目『REVUE』が発売になった。もちろん最新デジタル・リマスターで、尚かつヴァージョン・アップされた高音質盤の新規格 Ultimate HQ-CDが採用されている。

82年12月に発売された『彩』は、タイトルといいアートワークといい、スティーリー・ダン『AJA(彩)』を意識したかのような作品。みき自身と<真夜中のドア>を書いた林哲司、来生たかお、梅垣達志、濱田金吾、佐藤準、亀井登志夫らが曲を持ち寄り、林と佐藤がセルフ・アレンジ。他の曲は主に後藤次利がアレンジを手掛けた。みき自身は3曲書き下ろし、内2曲を自分で編曲。特に<10cmヒール>は、コンピ盤『Light Mellow 松原みき』にもチョイスした好曲だ。またパンタが作詞、濱田金吾が作曲という<予言>、まさにドナルド・フェイゲン・マナーに則った佐藤準アレンジ<Sugar Me>あたりも聴きモノ。楽曲ごとのクレジットは不明ながら、参加陣はかなり豪華で、コーラスには東北新幹線の2人(鳴海寛、山川恵津子)も顔を揃えている。2作続いたDr.ストラットと分かれ、再び日本の実力派ミュージシャンと相見えたターニング・ポイント的作でもあり、その矜持がスリリングな16ビートのロック・フュージョン<Bay City Romance>に表れている。

『彩』の発表後、シングルとベスト盤を挟んで翌83年9月にリリースされたのが『REVUE』だ。アレンジャーは林哲司(6曲)を中心に、まだ新鋭だった鷺巣詩郎(2曲)、みき自身(2曲)で構成。ここでは根本要や伊藤銀次らから曲を募っているが、その銀次作/林アレンジによるシャカタク張りの<シャンデリア・ミラージュ>、佐藤健作曲/林アレンジによるポップな<雨のちハレルヤ>など、好曲が多い。対して みきが作編曲した楽曲には、ジャズのエスプリが効いている。参加ミュージシャンはワーキング・バンドであるシャイニー・ストッキングしかクレジットされていないが、漏れ聞くところでは、この時のセッションは試行錯誤の連続で、多くのミュージシャンが出入りしダビングや録り直し、差し換えが繰り返されたとか。そのためOKテイクのキャストが曖昧なのだそうだ。でもその甲斐あってかこのアルバムは、チャレンジが多いながらもなかなか好印象を与える作となった。

この2作の初CD化で、みき嬢の未発表アルバムは、残すところ84年作『COOL CUT』だけに。これと、今では立派なレアCDになっている『LADY BOUNCE』の2枚は、秋頃のリイシューが予定されているので、続報をお楽しみに。