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みなさん、長らくお待たせしました。自主制作盤リリースから遅れること、約1年…。ようやく待望のケレ・ブキャナンの2nd『GOODBYE YESTERDAY』のジャパン・エディションが、本日発売になった。違うのは、わざわざ日本向けにレコーディングしてくれた<Happy When I'm Sad>の存在。これは、アルバム最後に申し訳程度に追加されているボーナス・トラックなどではなく、CD10曲目に鎮座している堂々の “新曲” だ。早々に輸入盤をゲットしてしまったマニアな方は、この1曲のためにコレを買い直さなければなるまい。


ケレのプロフィール部分は、4年前に書いたこちらのデビュー作のポストをご覧戴きたいが、この2作目は前作に比べるとかなり直球のAORアルバム。オープニングの<If You Need Somebody>からして、いきなりジョージ・ベンソンを髣髴させるアーバンな仕上がりを披露する。

ケレに拠れば、今作では曲作りに時間を掛け、ファンを強く惹き付けるような音作りを試みたそう。曲ごとに数人のヴォーカリストを起用する、というコンセプトは同じだが、今回はリズム・セクションを固定化し、スタジオ・ライヴ的なレコーディングを行なった。それが70~80年代のAORやウエストコーストもののような温かいサウンドを生んだと言う。

ハイライトは、ビル・チャンプリンがヴォーカルとハーモニーを取った<Never Gonna Give You Up>。ケレ自身が、自分の作ったヴォーカル・チューンの中で最高の1曲といい、ビルの参加で夢が実現した。更にこの曲の枯れたギター・ソロは、現在 豪ゴールドコーストに居を構えるルイ・シェルトンが弾いている。またデュエット曲の王道AORバラード<Until I Found You>には、ローズ・ピアノでロビー・ブキャナンが参加。短めのギター・ソロもジェイ・グレイドン風だ。

他にも好曲目白押しだが、そこは聴いてのお楽しみ。ちなみに印象的な楽器のアートワークは、かのマーク・ジョーダンが描いている。ロートル・アーティストの頑張りばかりが目立つAORシーンだが、それじゃもう先細り必定。真のAORファンは、 もっと積極的に若い世代のアーティストに目を向けて、agelessなAORシーンを作っていかなければ…!