naoki_sleepless
先月末に元スペクトラムのkyd奏者:奥慶一のソロ・アルバム再発をお知らせした時、“もうすぐビックリするような関係アイテムが降臨するので、心して備えるべし…”と書いた。中にはスペクトラムの秘蔵音源!? と期待された方もいたが、然に非ず。実はそのネタがコレ、ベースとヴォーカルを担っていた渡辺直樹、幻の3rdソロ・アルバムだ。今まで未発表のまま倉庫で眠り続けていた作品が、やっと陽の目を見るのである。

キャンディーズのバックを務めたM.M.P.、その進化形であるスペクトラム、芳野藤丸や松下誠と組んだAB'S、そして2枚のソロ・アルバムと、ずっと陽の当たる場所で活動を続けてきた直樹さんだが…。でも彼がこうして3枚目のソロ作を(ほぼ)完成させていたコトは、ごく最近まで知らなかった。何故ならこのアルバムは、レコーディングの地であるL.A.でミックスまで終わらせたものの、帰国後はマスタリングさえ行なわれず、そのまま27年間も手付かずのまま眠っていたからである。

それが突然発掘されたのは、先に登場した87年発表の2作、『SHE』と『STAR CHILD』のリイシューがあったから。その新規マスタリングを行なうべく、担当者が渡辺直樹名義のマスターテープを引き上げたところ、“渡辺直樹 IIIrd” と記された謎のリールが発見されたのだ。それを当人に問い合わせ、これが幻のソロ3作目のサブ・マスターだと発覚。本人協力の下、発掘プロジェクトが動きだし、ようやく初めてのオフィシャル・リリースと相成った。

発売に当たっては、前2作のリイシューにはなかった直樹氏自身のインタビューを敢行。前2作の解説に若干の訂正を加えつつ、彼の率直な気持ちをライナーに反映させている。詳細は実際に音を聴きながら解説をお読み戴くのが一番だが、作品の方向性だけ記しておくと、2nd以上に焦点を絞り込み、更にナチュラルでライヴ感のあるアルバムを作ろうとした、ということ。L.A.に飛んだのも、日本のスタジオのプラスチックな音を嫌ったためで、録音メンバーは当時の若手ミュージシャンを連れて行った。3枚のソロ作では最もバラエティに富んでおり、一番ヒット・ポテンシャルを孕んだ作品になっている。

でもそれがお蔵入りとは、甚だ残念。しかしながら当然のこと直樹氏自身には思い入れがあったようで、収録曲10曲中2曲は、再編AB'Sでリ・レコーディング。ガラリとアレンジを変え、詞も書き直している(タイトルも)。作詞はすべて、AB'Sでの盟友でもある安藤芳彦(パラシュート)。そのあたりがひとつの聴きドコロだろう。

発売は7月29日。タワーレコード独占リリースにて。

タワーレコード 特設ページ