拙監修のディスクガイド『Light Mellow 和モノ Special』のオリジナル版『Light Mellow 和モノ 669』(04年)に於いて、“職人による知られざる奇跡の名盤” と祭り上げたアルバムが3枚ある。それは山川恵津子と鳴海寛の東北新幹線、松下誠が在籍したミルキー・ウェイの、それぞれワン&オンリーのアルバム。どちらもガイド本掲載がキッカケになってCD復刻され、特に東北新幹線はアナログ復刻されたり、当時はサンプル盤しか作られなかったシングル盤まで売り出された。そんな中、一向に手付かずのままだった滝沢洋一『レオニズの彼方に』が、ようやくCD化された。しかもレーベル違いのシングル曲までボーナス収録しての完全盤。やる時ゃやるワ、ソニーさん!
滝沢洋一は、70年代後半から80年代に活躍したソングライター。米国生まれで、都内の大学に通う頃にアルファの創始者:村井邦彦に邂逅し、才能を認められたらしい。既に数年前に鬼籍に入ったらしいが、元気なら今年で65歳になる。有名になったのは、ハイ・ファイ・セットに<メモランダム>(77年作『ザ・ダイアリー』所収)を、クレスト・フォー・シンガーズに<ラスト・ストーリー>と<フィナーレ>(共に78年作『クレスト・フォー・シンガーズ』所収)を提供した辺りから。ハイ・ファイは当時アルファ&アソシエイツ所属、後者は出版がアルファということで、どちらも村井の息掛かりだったことが分かる。
これに次いで生まれたのが、このアルバム。タイトルの “レオニズ” とは獅子座流星群のことだそうだ。アレンジを手掛けたのは、後にアルファ専属となるkyd奏者:佐藤博で、彼の初期作『SUPER MARKET』や『TIME』に通じるクロスオーヴァー・スタイルのメロウなシティ・ポップを聴かせる。参加メンバーは新人作品とは思えぬほど豪華で、ドラムに村上ポンタ秀一と林立夫、青山純、ベースに高水健司と伊藤広規、ギターに鈴木茂、杉本喜代志、松木恒秀、松原正樹、鳥山雄司、アコースティック・ギターで吉川忠英、パーカッションで浜口茂外也、ペッカーなどが名を連ねる。もちろん村井/アルファの後ろ盾あればこそだが、みんな彼の楽曲の良さに触発されたか、単なる “お仕事” 以上の気合いが入った演奏ぶりだ。特に驚くのが、ラテン・ピアノの第一人者である故・松岡直也(14年没)を招いたこと。こうした動きが参加メンバーの機を引き締め、テンションの高い演奏を引き出したに違いない。シンガーとしての滝沢は決して褒められるレヴェルではないが、粒揃いの楽曲の魅力がそれを補って余りある。
4曲のボーナス・トラックはいずれもアルバムのシングル曲で、RCA(80年)やワーナー(82年)から発売された。ワーナー盤には次のアルバムの発売予告が載っていたが、何処まで制作が進んでいたのか、実際に発売されることはなかったようだ。
シティ・ポップス・ファンを自認する方なら、是非ともチェックすべき一枚。
タワーレコード特設ページ
これに次いで生まれたのが、このアルバム。タイトルの “レオニズ” とは獅子座流星群のことだそうだ。アレンジを手掛けたのは、後にアルファ専属となるkyd奏者:佐藤博で、彼の初期作『SUPER MARKET』や『TIME』に通じるクロスオーヴァー・スタイルのメロウなシティ・ポップを聴かせる。参加メンバーは新人作品とは思えぬほど豪華で、ドラムに村上ポンタ秀一と林立夫、青山純、ベースに高水健司と伊藤広規、ギターに鈴木茂、杉本喜代志、松木恒秀、松原正樹、鳥山雄司、アコースティック・ギターで吉川忠英、パーカッションで浜口茂外也、ペッカーなどが名を連ねる。もちろん村井/アルファの後ろ盾あればこそだが、みんな彼の楽曲の良さに触発されたか、単なる “お仕事” 以上の気合いが入った演奏ぶりだ。特に驚くのが、ラテン・ピアノの第一人者である故・松岡直也(14年没)を招いたこと。こうした動きが参加メンバーの機を引き締め、テンションの高い演奏を引き出したに違いない。シンガーとしての滝沢は決して褒められるレヴェルではないが、粒揃いの楽曲の魅力がそれを補って余りある。
4曲のボーナス・トラックはいずれもアルバムのシングル曲で、RCA(80年)やワーナー(82年)から発売された。ワーナー盤には次のアルバムの発売予告が載っていたが、何処まで制作が進んでいたのか、実際に発売されることはなかったようだ。
シティ・ポップス・ファンを自認する方なら、是非ともチェックすべき一枚。
タワーレコード特設ページ
「レオニズの彼方に +4」買わせて頂きました!!
金澤さんのブログにて滝沢洋一氏を初めて知り、発売を今か今かと待ちわびておりました(リアルタイムに聴いていた世代の方なら尚更だった事でしょう)。M-1.の出だしの音にいきなり“ガツーーーーーン”とやられました・・・。いい音楽、いいアルバムは、最初の掴みの音でハートを持っていかれるモンですね。佐藤博氏アレンジのアルバムパートと、新川博氏と徳武弘文氏アレンジのボーナストラックパートとで、空気がガラリと変るのも印象的でした。M-1からM-14まで、滝沢氏の遺した素晴らしき作品のひとつひとつを、最高の音質で聴かせて頂きました。ラストのM-14.『シティーバード』では、歌詞が滝沢氏の生き様と重なって、目頭が熱くなりました。鬼籍に入られたという事実が残念でなりません。今回のリイシュー、リマスター初CD化で、金澤さんとの対談が実現していればなぁ・・・。2cdアルバムの構想があったというエピソードも残念でした。しかし、金澤さんとスタッフの皆様のご尽力により、再評価され初CD化された事は、滝沢氏ご本人やご家族の方々も喜ばれている事だと思います。『レオニズの彼方に+4』、間違いなく“奇跡の名盤”でした。