pb underground
これは迂闊! またクラブ系のニュー・カマーか、と思ってチェックを怠っていたら、何と “PB” とはピート・レイ・ビギンとのこと。彼は、近年の来日公演でカナザワにしたたかなショックを与えてくれた再編レヴェル42の若手剛腕ドラマー。レヴェル42といえば、まずはマーク・キングの超絶高速スラップ・ベースが看板だけれど、バンドとしてはKydのマーク・リンダップとマークのコンビネーションが重要。そしてそれを後ろから煽り立てていたのが、数年前からレヴェル42に加入したピート・レイ・ビギンだった。

レヴェル42のグループ・ショットを見ると、背は小さくまだ子供のような猿顔。アピール度も控え目なので、最初は単なるツアー・メンバーかと思った。ところが実際にライヴを観ると、繰り出すドラミングは相当にえげつない。疾走感のあるマークのベースに対し、大きく揺れるようなグルーヴを供給しながら、一方で細かくビジビシと手数を突っ込んでくる。それがイチイチ カッコ良く、それこそジノ・ヴァネリと組ませたい!と妄想したほど。そのナイス・ドラマーのリーダー・バンドが、このザ・PB・アンダーグラウンドだったのだ。

レヴェル42以前にもインコグニートでプレイしていたが、訊けばチャカ・カーンやマーク・ロンソンのツアーにも参加した経験があるとか。バンド結成は08年で、インコグニートのミュージカル・ディレクターであるマット・クーパー(kyd)、レヴェル42の現行サックス奏者:ショーン・フリーマンの他、インコグニートやブラン・ニュー・ヘヴィーズ周辺のプレイヤーが参加している。故にその音は、いわゆるアシッド・ジャズ色濃厚。ヴォーカルは若手や新人ばかりだが、インコグニートでお馴染みのトニー・モムレムが2曲歌っているのが嬉しい。

興味深いのは、ヒップホップ世代のドラマーでありながら、曲によってはベース・ギターや鍵盤もこなしている点だ。スヌープ・ドッグのカヴァーを除くと、すべての楽曲の曲作りに名を連ねているから、それなりにシッカリした音楽素養を身につけていることが分かる。だからそのサウンドには浮ついたトコロがなく安定感バッチリ。インコグニートやブラン・ニュー・ヘヴィーズらアシッド・ジャズ総本山とは少し異なる職人気質のサウンドで、アーリー80’sのようなフュージョン/ブラック・コンテンポラリー寄りのファンク・スタイルを取っている。ダフト・パンク〜ファレル・ウィリアムス〜マーク・ロンソンという最近のダンス・ヒットの流れを視野に入れつつも、それをすべて生演奏に置換してマニアックに仕上げた感じ。ドラムがの音がデカいミックスも、気持ちがイイです