alfa live
音楽出版社、原版制作会社、そしてレコード会社へと連なるアルファ・ミュージック創始者で、松任谷由実や細野晴臣、赤い鳥などを発掘・育成、また教科書にも載っている かの<翼をください>を作曲するなど、日本のポップス・シーンを大きく進化させた村井邦彦。その村井が70歳の古希を迎えるのを記念し、アルファの所属アーティストが一堂に集まった一大イベント『ALFA MUSIC LIVE』が、渋谷Bunkamuraオーチャードホールで2日間に渡って開催された。その2日目に足を運んだ。

イベントの総合プロデュースは松任谷正隆。プレゼンターはアルファゆかりのアーティストやミュージシャンが担当し、グラミー賞よろしく、アルファの歴史やエピソードを語りながら、次の主演者を紹介する形で進んでいく。このプレゼンターだけでも、ミッキー・カーティスや服部克久、野宮真貴、向谷実、坂本美雨 etc.と超豪華だ。それにしてもオーディエンスの年齢層が高いコト高いコト。とりわけ今日は業界重鎮の方々が多かったのか、悠々自適してそうな60〜70歳代が目立つ。おそらく平均年齢も、優に50代後半に乗っていたのではないか。

さてステージは、いきなり荒井由美が昔の名前で登場し、69年のアルファ音楽出版スタート時に関わった加橋かつみを紹介して幕開け。バック・バンドは武部聡志(key)を仕切り役に、鳥山雄司(g)、浜口茂外也(perc,flt)、須長和広(b)、河村 "カースケ" 智康(ds)、本間昭光(key)、松岡奈穂美・今井正喜・須藤美恵子(cho)という、現在のユーミン・バンド+α に近い面々。更に雪村いづみ、荒井由美、小坂忠の3組の後ろは、細野・松任谷・鈴木茂のティン・パン・アレー(+α)勢がシッカリ固め、オマケに忠さんの時には高橋ユキヒロまでが参観してダブル・ドラムス状態に。とりわけ、いづみさんの歌唱力の確かさ、忠さんの歌の説得力はハンパなく、この辺りが最初のハイライトと言えるだろう。前半の締めくくりに桑原茂一が「コなさん、ミんばんわ!」とプレゼンターで登場し、スネークマン・ショーもどきのMCを展開したのも一興。ま、近くにいたご年配のミセスは、「スネークマン・ショーって何?」と怪訝そうだったけれど…

後半スターターの吉田美奈子は、当然アルファ・レコード時代の曲を歌うと思いきや、何と『FLAPPER』所収の名曲<朝は君に…>を熱唱。更に、まさかまさかの<夢で逢えたら>を、ゆったりめのボサっぽいアレンジで。気位の高い美奈子さんゆえ、絶対この曲を歌うことはないだろうと思っていたが、そこは村井邦彦直々のリクエストだったらしく、共に鬼籍に入った2曲の作曲者、すなわち佐藤博、大滝詠一それぞれに捧げられた。その後を受けたサーカスも、1曲目は全盛期メンバー、2曲目は現行メンバーという柔軟さで意表を突く。逆にブレバタの変わらなさも、ある意味大変貴重で…。でもこの日一番ド肝を抜いたのは、79年デビューなのに未だガーリーな魅力を保つコシミハルと、このハイソな小屋で3ピースのロケン・ロールをぶちカマしたシーナ亡きシーナ&ザ・ロケッツだったかも。まさかこんな所で、今更<Lemon Tea>を聴くとは思わなんだ… ただ鮎川さんが頑張れば頑張るほど痛々しい感じもあって、実はちょっと複雑な心境も…。

ラストのハイライトは、遅ればせながら村井氏自身の登場。まずはピアノで細野・ユキヒロ両氏に混じってラテン調<Rydeen>を披露。続いて、生涯の一曲であろう<翼をください>を、赤い鳥の元メンバーである紙ふうせんと村上ポンタ秀一、同じく故・大村憲司の息子:大村真司、それに加えて小坂忠の愛娘Asiah、林立夫の子息:林一樹による二世代バンドでプレイし、アルファ・スピリットの次世代への継承をアピールした。またココで、佐藤博、深町純、大村憲司、ガロの堀内護と日高富明など、アルファに貢献した多くの故人を偲ぶコーナーも そしてエピローグは、アルファを一緒にスタートさせた作詞家:山上路夫と当イベント用に書き下ろした新曲<音楽を信じる>を披露して…。小坂とAsiah親子が、病床にあるという山上に届けとばかりに熱く、力強く、歌い上げた。

スタンディング・オベーションの中、再び登場した村井は、やはり赤い鳥に書いた名曲<美しい星>をピアノで弾き語り、最後は出演アーティスト全員がステージに上がって盛大なフィナーレを迎えた。アルファ、そして村井邦彦の素晴らしい足跡に感動しつつ、自分もその音源を扱える立場にいることに感謝!

《 Set List 》2015年9月28日 Bunkamuraオーチャードホール
1. 愛は突然に / 加橋かつみ
2. 花の世界 / 加橋かつみ
3. 竹田の子守唄(赤い鳥) / 紙ふうせん
4. 学生街の喫茶店(GARO) / 大野真澄
5. 蘇州夜曲 / 雪村いづみ
6. 東京ブギウギ / 雪村いづみ
7. ひこうき雲 / 荒井由実
8. 中央フリーウェイ / 荒井由実
9. ほうろう / 小坂忠
10. 機関車 / 小坂忠
-- intermission --
11. 朝は君に / 吉田美奈子
12. 夢で逢えたら / 吉田美奈子
13. Mr. サマータイム / サーカス
14. アメリカン・フィーリング / サーカス
15. ピアニスト / 山本達彦
16. あの頃のまま / ブレッド&バター
17. MONDAY MORNING / ブレッド&バター
18. La Vie en rose(エディット・ピアフ) / コシミハル
19. ユー・メイ・ドリーム / SHEENA & THE ROKKETS
20. LEMON TEA / SHEENA & THE ROKKETS
21. Hot Beach / 日向大介 with encounter
22. RYDEEN(Yellow Magic Orchestra) / 細野晴臣、高橋幸宏、村井邦彦
23. 翼をください(赤い鳥) / 紙ふうせん、村井邦彦、Asiah、林一樹、大村真司
24. 音楽を信じる(村井邦彦) / 小坂忠、Asiah
-- Encour --
25. 美しい星 / 村井邦彦