leo sayer_restless
気がつけば、早くも10月。空気もすっかり乾いて秋めいてきた。そこでこの季節に似合いそうなニュー・アルバムをピックアップ。73年にデビューし、80年初頭にかけてヒットを連発した英国のポップ・シンガー:レオ・セイヤーが、密かに味わい深いアルバムを出している。

レオ・セイヤーというと、ちょっぴり哀しさを秘めたピュア・ボーイ的イメージで成功し、82年までに英で10曲(1位1曲)、米で5曲(1位3曲)のトップ10ヒットを持つ。日本で有名なところでは、<You Make Me Feel Like Dancing(恋の魔法使い)>や<When I Need You(はるかなる想い)>、<More Than I Can Say(星影のバラード)>あたりだろうか。基本的にはポップ・シンガーながら、70年代末〜80年代初頭はトム・スノウやアルバート・ハモンドらと共作したり、L.A.のミュージシャンを起用してアルバムを作ったりして、AORフリークも無視できない存在だった。

その後マイペースの活動となり、情報も絶え絶えだったが、近年はオーストラリアを拠点にしていたらしく…。今回の新作も、05年発売『VOICE IN MY HEAD』以来だと思っら、実はその間にオーストラリア・オンリーの作品を出していた。カタログ再発や編集盤はたくさん出ているんだけどね。一昨年出た14枚組ボックスも、『The Complete Studio Recordings』と謳っておきながら対象は06年までで、その豪州盤の収録はナシ。それでもアルバム未収の貴重テイクがCD2枚にまとめられて入っているので、マニアには見逃せないところなのだが。

さて、このニュー・アルバムは、レオ自身のプロデュースによるオーストラリア録音作。収録曲も基本はレオのオリジナルだが、数曲で旧知のアルバート・ハモンドと共作しているのが嬉しい。もっともすべてが書き下ろし、というワケではなく、70年代に書いた曲に手を加えたり、90年代に書いた曲なども含まれている。それでも髪型同様、作風に大きな変化はなく、得意のファルセットも健在(キーは少し下がったか…)。派手な演出や凝った作り込みこそないが、ちょっとした時流への意識を垣間見せつつ、キャリアを重ねたポップ・シンガーのアダルト・コンテンポラリー作として品良くまとまめている。まぁ、サングラス姿は少々ルー・リード風だけど…

そして今月末には、81年の初来日以来というジャパン・ツアーが決定(詳細は Billboard Live Tokyo のサイトへ)。是非この新作を聴いた上で、日本での久々のステージに接したいところだ。