rumer_b side
このところ、締切だのライヴだのとスケジュールが詰まっていて、少々お疲れ気味。肉体的じゃなく、気分転換の時間が取れなくて、精神的にへばっている。そこでふと手が伸びたのが、このルーマーの最新リリース。

タイトル通りの『B SIDES & RARITIES』で、ほとんどがアルバム未収の既発ヴァージョン。EP盤やコンピのみに収録されていたような、チョッと入手しづらい楽曲を一枚にまとめたお手軽盤だ。

でもその内容は、しっくりホッコリ。ハンドメイドな作風でカヴァー曲に才を発揮するシンガーだから、こういう企画はとても嬉しい。そもそも2枚目の『BOYS DON'T CRY』(12年)だって、ジミー・ウェッブやトッド・ラングレンあたりの曲を取り上げた、ワザありのカヴァー集だったし。

今回もビートルズ<Here Comes The Sun>、バカラックの< Alfie>あたりを筆頭に、ニック・デカロが歌っていたビーチ・ボーイズ<The Warmth Of The Sun>、ポール・サイモン<Long Long Day>、ランディ・ニューマン<Marie>などがゆったり並ぶ。『INTO COLOUR』のアウトテイクである<Dangerous>のボサノヴァ・ヴァージョンなんて、まさに垂涎。

AOR的には<Arthur's Theme>と<Sailing>というクリストファー・クロスのカヴァー、<It Might Be You>と<Separate Lives>というスティーヴン・ビショップのカヴァーにホロリとくる。しかも後者はビッシュ本人とのデュエット。彼は<Dangerous>の共作者の一人でもある。

AORというと、形(=スタイルやアレンジ)から入る人が多いけれど、まず基本となるのは良い楽曲。そして、その楽曲の魅力を最大限に引き延ばすなら、必ずしもAORである必要はないのだな。